メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

第三次世界大戦の可能性?

ウクライナ戦線で苦境に立たされたロシアが部分的動員令を宣言したという。もっとも、ウクライナの方は、もとより男子の海外渡航まで禁じる総動員の態勢で臨んでいた。

トルコの軍事評論家らによれば、ウクライナが攻勢に転じたのは、米国が射程距離の長いミサイル等の高度な兵器を供与し始めたからだそうである。

当初、米国はそういった兵器の供与によって、戦争が「ロシアと西欧」の戦争に拡大するのを恐れていたが、ロシア軍の進撃にウクライナ側が対抗する術を失ったため、覚悟を決めてしまったのではないかと言われている。

しかし、NATOの兵力はロシアのそれを遥かに上回っているものの、選挙を控えている欧米は世論の動向を気にしなければならない。この点、ロシアはどうだろうか? 

60~70年代、北朝鮮と対峙していた民主主義陣営の韓国には、多少、政府を批判したりデモを行ったりする「自由」が認められていたけれど、金大中氏のように政権を脅かすほどの存在になれば、拉致して投獄することも躊躇わなかった。ロシアでも同様の事件が起きている。

87~88年、韓国に滞在していた頃に聞いた話で真偽のほどは解らないが、当時の選挙は、兵役に就いていた若者たちが部隊ごとに投票させられて、その部隊から一票でも野党票が出た場合、全員が懲罰を受けるという非常に不公正なものだったらしい。これと似たようなことはロシアでも行われているのではないだろうか?

そのため、ロシアは世論の動向などお構いなしに戦争を進めることが可能であるかもしれない。

なんだか「第三次世界大戦」も全くの妄想とは言えなくなってきたような気がする。

以下の駄文で紹介した「さまよえるハプスブルク」には、第一次世界大戦ハプスブルク帝国という多民族帝国が崩壊し、国民国家の誕生する過程が描かれていた。

第二次世界大戦では、「大日本帝国」という多民族帝国が崩壊させられている。すると、「第三次世界大戦」はロシアという多民族国家が崩壊して行く過程になるのだろうか?

米国は、第一次でも第二次でも自国を戦場にしないまま一方的な受益者となったけれど、「第三次」でもそれは可能であるかもしれない。

仮に、ロシアが崩壊した場合、ユーラシア地域は未曾有の大混乱に陥るだろう。それは「ユーゴスラビアの崩壊」などとは比較にならない規模になってしまいそうだ。

米国はウクライナを傀儡国家として支配できたとしても、さすがにロシア全域を支配できるとは思えない。それでも、大混乱の中で兵器の供与を続けて莫大な利益を上げる・・。

以上は妄想の範囲を出ない説であるかもしれないが、いずれにせよ、今後の展開はどちらに転んでも世界に大きな災いをもたらすに違いない。

特に、トルコのような周辺に位置する国は堪ったものじゃないだろう。自国の安全を確保するためにも、懸命に停戦交渉の仲介に努力するのではないかと思う。