メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

コロナ後の世界はどうなるのか?

最近話題になっている「武漢のウイルス研究所がコロナを流出させた」という説、よくある陰謀論のようにも思えるけれど、武漢で発生が明らかになるや中国政府は武漢を閉鎖したりして、かなり慌てふためいていた印象がある。しかし、その後の経過を見ると、隠蔽があるのかどうかは解らないが、中国における死者数は欧米各国のような増加を見せていない。中国政府は早々と事態の収束をアピールしている。それでは、当初の狼狽ぶりは何だったのだろう? ウイルス研究所からの流出に気が付いていたからではないかという疑念を抱かせてしまうかもしれない。いずれにせよ、今後、中国は国際社会の中で非常に拙い立場に置かれてしまうような気がする。

ところで、欧米が死者の増加で突出した傾向を見せているのは「自然免疫力が低下していたため」という仮説も立てられている。インドのような衛生環境が余り良いとも思われない国々で死者の増加が見られないのは、逆に自然免疫力が高く維持されていたからだという説明が成り立つらしい。

日本の衛生環境はかなり良かったと思われているが、生魚をあれほど多く食べるのは日本以外に考えられない。生魚に付着した細菌やウイルスによって自然免疫力が鍛えられていたということは有り得ないだろうか? 大勢の人たちが一緒に湯に浸かる風習もそれほど衛生的ではないはずだ。現に、体の弱ったお年寄りが細菌に感染して亡くなられる事件が頻繁に発生している。

一方、衛生環境が良く成り過ぎてしまった欧米では、人々の免疫力が極度に衰えてしまったため、これからもコロナの死者は増え続け、経済は壊滅的な打撃を被るとして、アジアと欧米の経済的な地位の逆転が起きるのではないかと主張する人たちもいる。

かつて、欧米は新大陸等を植民地にして、そこへ天然痘結核のような感染症を持ち込み、これに免疫の無かった多くの人々を死に追いやった。それが今、皮肉にも逆の立場に置かれてしまったという声も聞かれる。これにより、新大陸の人々が死に絶えたのは、欧米の武力による殺戮だけが要因ではなかったという史実を改めて思い出させてもらったけれど、欧米は武力殺戮を少なく見せるため、感染症の威力を過大に伝えて来たような気がしないでもない。それなのに、今回、コロナという感染症に打ちのめされてしまうとしたら、確かにとても皮肉なことだろう。

とはいえ、欧米でも死者増加のピークは既に過ぎたと言われているし、常識的に考えれば欧米の経済力がそう簡単に衰えてしまうとも思えない。コロナのために最も大きな被害を受けるは、やはり中国ではないだろうか? その中で日本は、中国の人々に救いの手を差し伸べつつ、政治的には欧米寄りの姿勢を確かにするのが無難であるような気がする。

また、以下のように、欧米に比べて圧倒的に少ない被害でコロナを乗り切れそうな日本は、経済的にかつてない絶好のチャンスを得たという主張もある。これでは、まるで火事場泥棒のようだけれど、人間の歴史なんて火事場泥棒の繰り返しみたいなものだから、そういうチャンスがあれば使わない手はないだろう。自粛なんてやっている場合ではないような気がする。