メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

うるさい少数派が民主主義を脱線させようとしている

昨日のサバー紙、メフメット・バルラス氏のコラムの表題は、「うるさい少数派が民主主義を脱線させようとしている」だった。
炭鉱事故の後、メディアには、政府批判というより、殆どデマ・中傷としか思えないような言説も飛び交っていた。

バルラス氏は、こういった言説のために、まともな政府批判の声もかき消されてしまい、健全な民主主義の発展が妨げられていると言うのである。
昨年6月のゲズィ公園騒動以来、一部の反AKP的な人たちは、非常にラディカルな傾向を示すようになり、ちょっと常軌を逸しているのではないかと思わせられる言動さえ見られた。
また、今回も激しいデモの様子が日本で報道されたようである。ゲズィ公園、不正疑惑に続いて、3度目の大規模なデモの報道だろう。

その度に「政府批判が高まり、AKP政権は危機に・・・」などとコメントされていたが、おそらく今回の事故でもAKPの支持率は落ちていない。
これでは何だか“狼少年”になりそうだ。次に本当の狼が来ても、誰も信じなくなってしまうかもしれない。
2月、この欄に「トルコの反エルドアンと日本の脱原発は似ている」などとつまらない話を書いたけれど、確かに似ているような気がして来た。いずれも、この世の現実的な部分から距離を置き過ぎてしまっているのではないだろうか。
90年代の半ば頃、日本で“広告料を一切取らない”という週刊誌が創刊された。とても面白い試みだと思って、暫く購読していたが、そのうち何だか誹謗中傷としか思えない記事が増えて来たように感じた。

愛読している友人に、「全く広告料を取らないことによって、社会との関わりが無くなってしまったのが拙いのではないか? 慎重に選びながら、多少は広告も載せた方が良いのでは・・・」と愚見を開陳したら凄く怒られた。
世間のしがらみを断たなければ、高邁な思想は生み出せないのかもしれないけれど、平凡な俗人には何とも解り難い世界だ。