メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アメリカの春

アメリカでは、トランプ大統領の就任に反対する、激しいデモが各地で発生しているそうだ。サバー紙のメフメット・バルラス氏は、1月20日付けのコラムで、これを「アラブの春」に例えながら、「アメリカの春」と呼んで皮肉っていた。
バルラス氏は、2013年6月の「ゲズィ公園騒動」も、「アラブの春」と同様、欧米に焚きつけられた騒ぎだったのではないかと述べている。あれは「トルコの春」を狙って画策されたらしい。
その「春」は、回り回って、アメリカ本国にもやって来てしまったという話だが、安倍内閣憲法改正云々によっては、そのうち「日本の春」も実現しそうで恐ろしい。
ところで、就任に反対してデモ騒ぎを起こしている人たちはともかく、オバマ前大統領も、選挙の結果が出てから、「サイバー攻撃があった」とか「自分が出ていれば勝っていた」などと発言して、なんとも潔くない感じで、みっともなかった。
しかし、ひょっとすると、最後まで勝負を諦めないというのが、アングロサクソン的なスポーツマンシップの精神なのかもしれない。将棋やチェスならいざ知らず、スポーツの世界では、敗北が確実になったと言って試合を投げたら、厳しく非難されるだろう。
その代わり、完全に決着がついてしまえば、紳士的な態度で負けを認めて、相手の力量に敬意を表す。オバマ前大統領も、就任式では、終始、紳士的で和やかな態度だった。
こんなことを言ってはなんだが、彼らが最終的に認めているのは、理念より何より、要するに「力」ではないかと思えてしまう。
アメリカが、多少なりとも日本を認めてくれているのは、技術なり経済なりの「力」のお陰ではないだろうか? 
弱っちいくせに歯向かったりしたら、それこそ徹底的にのされてしまうけれど、その際に、ある程度、手強い所を見せれば、それなりの評価はしてくれる。太平洋戦争の日本がそうだったような気がする。現在も、自衛隊の力量は、合同演習等を通して、アメリカ側から高く評価されているらしい。
とても凶暴で恐ろしい人たちではあるものの、この世界が、力と力を競い合うスポーツの舞台であるならば、スポーツマンシップの精神に則った強力なライバルと認め合うこともできるはずだ。
所詮、人類というチンパンジーの親戚が築き上げて来た「文明」なんて、この程度のものかもしれない。

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