メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トランプ大統領

トランプ大統領の就任によって、中東やトルコを取り巻く状況は、いったいどう変化するのだろう?
昨日(1月20日)、ニュース専門局(NTV)の番組で意見を求められたアリ・サイダム氏(イエニ・シャファック紙)は、次のような“ハジュ・ベクタシュの小話”を紹介していた。
*(イエニ・シャファック紙は非常にAKP政権に近い、保守・イスラム系の新聞)/(ハジュ・ベクタシュは、13世紀に教団を創始したイスラムの思想家)
ある人が、2本のワインをハジュ・ベクタシュ師のもとへ持参して、どちらのワインが美味いか判定して欲しいと頼んだところ、ベクタシュ師は、まず1本目のワインを少し飲んで味見すると、2本目には口をつけることもなく、この2本目が美味いと判定した。
依頼した人が驚いて、「先生は、まだ1本目のワインしか飲んでいないじゃありませんか?」と訊くと、ベクタシュ師は、「これ以上不味いワインなんて有り得ない」と答えたという。
この小話で、サイダム氏は、「多分、オバマよりは不味くないはずだ」と期待も示しているが、もちろん、「飲んでみたら、もっと不味いかもしれない」という含みも匂わせているのだろう。
不味いか美味いか、もう暫く経過を見なければ、判断できないと言いたいのではないかと思う。
とはいえ、「あれより不味いわけがない」と思いたくなるほど、トルコにとって、オバマ大統領の8年が酷かったのは、明らかなようである。
アラブの春」などと聞こえの良い話で、中東を引っかき回して、滅茶苦茶にしてしまっただけという印象さえある。
アメリカの兵力を撤退させたとは言うものの、中東への介入を止めたわけじゃなくて、PYD~PKK等々に武器支援するなどして、代理戦争を仕掛けていた、とトルコの多くの識者が指摘している。
オサマ・ビン・ラディンの謀殺を見ても、オバマ氏がそれほどの平和主義者だったとは言い難いだろう。「核廃絶」も口先ばかりで、何ら成果は得られていなかった。
トランプ大統領に近い軍の元高官は、「前面から出て行く」と語ったそうだが、確かに、裏で何か画策されるくらいなら、見える所でやってもらいたいような気もする。
トランプ大統領、日本では、アメリカに進出している日系企業への強硬な姿勢が話題になっているらしい。
しかし、あまり陰謀論を持ち出すのは好ましくないけれど、例えば、「ブレーキが故障した」なんて有りもしない因縁をつけられて凄まれるより、「アメリカの利益も考えてくれ」と正面切って凄まれる方が、遥かに気持ちも良くはないだろうか?