メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

陰謀と情報操作

 所謂“陰謀説”みたいなものは、大概、少し“眉唾”で聞いておくべきじゃないかと思うけれど、かつて南米などで起こったクーデターやテロの中には、既にCIAの謀略が露見してしまったものも少なくないという。
しかし、アメリカの内部で暴露されない限り、弱小国側が証拠もないのに騒ぎ立てたところで、事態は悪化するだけだから、なるべく取り沙汰しない方が良かったのかもしれない。
欧米は、自分たちの都合に合わせて、情報操作を行って来た可能性もあるが、こちらも弱小国が対抗する術はなかったような気がする。
「SNSによってもたらされた“アラブの春”」なんて話が、一時期喧伝されていたものの、主だったSNSは全て欧米の資本によるものであり、SNSが「持たざる者の武器」に成り得ないのは、何処から見ても明らかだろう。
トルコも、「ISから石油を買っている」などと暫くの間、各国のメディアで叩かれていたけれど、昨年末、CIAは「誤情報だった」として正式に謝罪したらしい。とはいえ、これも何だか不気味な話である。 
欧米のトルコに対する情報操作は、100年前の「アラビアのロレンス」やクルド問題等をはじめ、以前から執拗に続けられて来たような気もする。欧米の一部には、オスマン帝国が完全に解体されず、トルコ共和国となって歩み続けた事実を未だに納得していない気持ちが残っているのかもしれない。
こういった例に比べれば、「エルドアンは独裁者」なんていう誹謗中傷は、まだ可愛らしい部類だが、これも、あの手この手を使って執拗に繰り返されてきた。
圧倒的な「情報」量で、これをやられると、少々“眉唾”で聞いていた人たちも、『火のない所に煙は立たない』と思い始めてしまう。
大量の「情報」を発信できないトルコのような国は、せいぜい自国内で対抗処置を取るくらいだ。そして、また「言論弾圧」などと非難されたりする。
確かに、行き過ぎた“対抗処置”もあるから、非難されても仕方がないだろう。技術力と経済力を養い、民主主義を発展させることが、最良の“対抗処置”であるかもしれない。 

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