トルコに居た頃は、春から夏にかけて、チェリーやイチゴのような果物が市場に安く出回るのを楽しみにしていた。1~2kgぐらい買い込んで貪るように食べた。
日本でこんな贅沢はとてもできない。果物で季節に必ず食べるのは柿ぐらいなものだ。それも4個入りのパックを買ってきて、ゆっくり愛おしむように食べる。決して貪るようには食べない。今秋に食べた柿は全部で20個ぐらいじゃなかったかと思う。それでも、今年は随分多かったような気がした。
トルコでは、他にも時期的な食べ物として、ラマダンにはナツメヤシ、クリスマスにはシュトーレンを食べたりした。もっとも、イスラム暦により、毎年、11日ずつ早まって行くラマダンには決まった季節がないけれど、ナツメヤシはラマダンになると市場に安く出回るようになる。
一度、ナツメヤシを買い求めながら、お店の人に「ナツメヤシの季節はいつなの?」と訊いたら、「それじゃあ訊くけど、ラマダンの季節ってあるの?」と笑われてしまった。どうやら、ラマダンに安くなるのは、需要が増えるためであるらしい。
クリスマスを祝うようになったのは、イスタンブールで正教徒のマリアさん宅に間借りさせてもらった2005年以来のことである。それまではクリスマスを意識することさえなかった。当然、クリスマスにシュトーレンを食べる習慣もなかった。
私にとってシュトーレンを食べるのは、イスタンブールに由来する習慣なのである。そのため、帰国してから、シュトーレンを食べるのは、クリスマスを祝うというより、イスタンブールを思う行事になっているのかもしれない。
本場のドイツでは、クリスマスの1ヵ月前から、シュトーレンを少しずつ食べて行く慣わしであるという。
それで今年は、12月3日からシュトーレンを少しずつ食べていたけれど、一昨日、全て食べ切ってしまった。購入した量が少なかったかもしれないが、追加購入するつもりもない。
シュトーレンは実に美味しかった。しかし、価格は高いし、カロリーも高い。クリスマスまで食べ続けたら、腹は太り、財布は痩せ細ってしまうだろう。