メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの世俗化

上記のユーチューバーの若いトルコ人女性について、私は「世俗的」と表現したけれど、スカーフを被っている母親と姉の様子を見ると、家族の保守的な傾向は明らかであり、彼女自身のイスラム信仰もトルコの標準からすれば、わりと熱心な部類に属しているかもしれない。

トルコでは、既に宗教が「社会の問題」ではなく「個人の問題」になっている。

2016年頃、それまで「中央アジアから来たトルコ人」を自称し、無宗教を主張していた友人が、平然と「トルコ人というのはオスマン帝国イスラム教徒のことだよ」と言い始め、自分たちの宗教も認めてしまったので驚いたけれど、これは決してイスラム化を意味していないと思う。

かえって、無宗教を主張していた頃の友人は、あまり「世俗的」でなかったような気もする。

イスラム政教分離主義の対立という社会問題の中で、彼は政教分離主義者であることを絶えず強調していた。対立の解消と共に、その緊張が解かれて楽になったのではないだろうか?

そもそも、宗教を認めたと言っても、それは「酒を飲んで礼拝をしないイスラム」なのである。

ユーチューバーの女性に代表される新しい世代は、もともとそんな対立や緊張とは無縁だっただろう。その辺りがとても「世俗的」であるように感じられる。

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