メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アフガニスタンとトルコの相違

トルコ軍はNATOの一員としてカーブルの空港に1200人ほどの将兵を駐屯させているという。

トルコのメディアでは、7月10日の段階で、タリバンの勝利を確実と見做して、その後の展開を占う討論番組が組まれていたりした。

以下の動画では、メテ・ヤラルという退役軍人が持論を説明しているけれど、「武力衝突は絶対に避けなければならない」「アフガニスタン側の了解がない限り駐屯を続けるべきではない」という点が特に強調されている。

ヤラル氏は、この時点で、「勝利を確実にしたタリバンは国際社会からの認知を求めるはずだ」として、タリバンが現実的な路線に転換を図るだろうという見方を示している。

しかし、どのくらい現実的になるのかについては明らかにしていない。あれから1か月以上経過し、米軍が退きタリバンが政権を掌握した現在も、トルコではタリバンの方向性について議論が続けられており、まだ明確に今後を予想する識者はいないようだ。

それでも、多くの識者が「タリバンの現実路線にそれほど期待していない」という点では一致しているように思われる。

5年前、「シリアの新しい体制は“政教分離主義”に基づかなければならない」と論じていたチャヴシュオール外相も、おそらくタリバンアフガニスタンには政教分離を求めないのではないだろうか。

トルコがアフガニスタンや中東諸国と明らかに異なっているのは、その産業構造にも見られるかもしれない。

イスタンブールからアンカラへ向かう途中、イズミット湾の辺りで工業地帯が延々と続くのを見て「トルコって結構産業化が進んでいるんですね」と驚く日本の人たちに私は驚いていたけれど、トルコは既に工業国と言っても良いと思う。

サウジアラビアも統計上は工業生産の比重が高いことになっているものの、あれは石油関連の生産が殆どではないのか。しかも、自分たちの技術で生産しているわけじゃない。

実際は、石油という地下資源に依存する非常に歪な産業構造であり、それがあの歪なイスラム思想にも影響しているように思われてならない。

サウジアラビアは、農業国という段階を経ないまま工業国になってしまった稀有な例じゃないだろうか。

アフガニスタンも乾燥した山岳地帯が国土の大半を占めていて、農業生産力の増強は非常に難しいという。工業化は尚更困難であるに違いない。果たして、今後どうやって経済を発展させて行くのだろう?(地下資源は豊かであるそうだが・・・)

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