メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

横綱白鵬が全勝優勝!

大相撲の名古屋場所横綱白鵬が凄まじい執念を見せて全勝優勝を果たした。

態度や取り口に対して様々な批判もあるようだけれど、相撲も禁じ手を使わない限りは、勝つために如何なる手段を用いても良いはずである。

欧米のスポーツの世界では、反則すれすれのテクニックを使ってでも勝ちに行くファイティングスピリッツこそ評価されるのであり、相手を気遣ったり礼儀に拘ったりして、勝利への執念が欠けているように見られたりしたら、かえって批判の対象にされてしまうらしい。

大相撲の世界も外国出身の力士らに門戸を開いた時点で、そういったスポーツ精神等々の影響を受けることも覚悟しなければならなかったはずだ。

また、世の中がこれだけ変わって来たのに、自分たちの世界だけは旧来の伝統に拘っていたいというのは無理があるように思える。

それにお金を取って見せるプロスポーツなのだから、海外で増えて来た相撲ファンの意向も無視してはならない。

そもそも大相撲の素晴らしさは、現存する世界最古のプロスポーツという所にあると思う。

大相撲には観客を喜ばせるためのショーアップも施されているのではないか。行司の所作などもその一つだろう。それを江戸時代から積み重ねて来たのは感嘆に値する。

一方、白鵬関の言動には、少しやり過ぎもあるかもしれない。『あれだけ頭の良い人が何故?』と首を捻りたくなるような発言もあった。

ひょっとすると、勝利へのモチベーションを高めるために、わざと「敵」を作ろうとしているのではないかと私は考えたりしているけれど、実際のところ、どうなんだろう?

しかし、スポーツ選手の中には、かなり無理して自分を追い込まないと闘争モードに入れない人も少なくないような気がする。こういう人は、試合中の闘志むき出しの態度とは別に、普段の生活でとてもナイーヴな一面を見せたりしている。何となく、テニスの大坂なおみ選手はその典型であるように感じてしまう。

横綱朝青龍のダグワドルジ氏が甥の豊昇龍に「土俵に上がったら相手を殺すつもりでやれ! それが出来ないならチャンコ番でもやってろ!」とツイートした話が取り沙汰されていたけれど、要するに、そのぐらいの気持ちにならなければ戦えないほど普段は優しい人なのかもしれない。白鵬関も同様ではないだろうか?

ボクシングの世界では、「試合中のリングで笑顔を見せることができるのは、モハメド・アリシュガー・レイ・レナードぐらい」なんて話もあった。

アリはキンシャサでフォアマンに挑戦した「世紀の一戦」でも、穏やかな表情ですたすたと歩きながら試合場に姿を現し、リングに上がる直前、ニコッと微笑む余裕を見せている。あれは解説者としてリングサイドに来ていたジョー・フレージャーに声をかけられて微笑んだようだけれど、世紀の一戦を前にして、しかも最大のライバルであるフレージャーに対してそれが出来るのは尋常とも思えない。

そして、考えようによっては、闘志むき出しの態度を見せる人より、こちらの方が遥かに恐ろしい。微笑むほどの余裕を見せながら、平気で相手を殴りつけてしまうわけだから・・・。

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