メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「Vフォー・ヴェンデッタ」:恐怖による統治

この「Vフォー・ヴェンデッタ」という映画は、12~3年前、イスタンブールからイズミルへ行く長距離バスの中で観たのではないかと思う。

そもそも、私がこの20年ぐらいの間に観た欧米の映画は、その殆どをトルコの長距離バスの中で観たのである。

トルコ語の吹替で、良く聞き取れていない部分も多いから、印象に残った映画は、後日、インターネットで探して観直したりしたけれど、これもまたトルコ語の吹替である場合が多かった。只で観られる日本語字幕付きなどはなかなか見つからない。

しかし、当時「Vフォー・ヴェンデッタ」はトルコ語吹替も見つからなかったので、先日、上記のサイトから観たのは12~3年前以来のことであり、その内容も殆ど忘れていた。覚えていたのはチャイコフスキーの「序曲1812年」が鳴り響く場面とナタリー・ポートマンの美しさぐらいだろうか・・・。

そのため、観始めてから、まさしく今のコロナ騒ぎのタイミングで観る映画であることに気が付いて驚いた。

独裁者のサトラーは、自らウイルスによるテロを仕掛けてこれを制圧し、権力を掌握していくが、国民を統治するために使ったのは「ウイルスではなく、それによって生み出された恐怖である」と説明されている。

サトラーらはマスコミを通して国民に恐怖を植え付け、思い通りにコントロールするのである。

ウイルスの制圧に効果があったとされる薬品を売り出した製薬会社は巨額の利益を得て、これがサトラーと側近たちの重要な資金源になったという経緯もなかなか興味深い。

原作が英国の漫画であり、映画は漫画のような現実を無視したファンタジーに仕上げられているけれど、現在進行中のコロナ騒ぎも何だか仮想の世界の出来事のように思えてきてしまう。