メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「細雪」を歩く・旧居留地~三宮

今日は「細雪」の主な舞台の一つである「旧居留地」から三宮の辺りを歩いて回った。

まずは旧居留地近くのユーハイムバウムクーヘンを食べてみた。凄く甘いのかと思っていたが、そうでもなかった。その時代の嗜好に合わせながら、甘味を抑えてきたのかもしれない。

細雪」では、妙子がユーハイムでお茶を飲んでいる時に、「キリレンコのお婆ちゃん」が娘のカタリナと共に姿を現したりしている。

このキリレンコの一家はロシア人であるけれど、「細雪」には隣家のドイツ人の家族の話が度々出てくる。ユーハイムの創業者もドイツ人だった。

細雪」に記述はないが、当時、チョコレートで有名なモロゾフゴンチャロフの店も神戸にあったはずである。

その頃は、各々の店でドイツ人やロシア人の経営者や職人さんの姿を見ることもあったのではないだろうか? 街角を「キリレンコのお婆ちゃん」のようなロシアの老婦人が颯爽と歩いていたかもしれない。

今はユーハイムでも店内に飾られている写真から当時の様子を偲ぶことができるに過ぎない。現在、ドイツ人の方がここで働いているわけでもないようである。

神戸は戦前のほうが遥かにコスモポリタンだったに違いない。戦前の日本は多民族国家と言って良かっただろうから、神戸に限らず、コスモポリタンな雰囲気は様々な所で感じられたようにも思える。

細雪」の隣家のドイツ人家族の子供たちが通っていたドイツ人学校も神戸の北野にあったという。

このドイツ人家族の話では、長男のペータアが電車遊びで阪神電車の車掌の真似をする場面がとても面白い。

「次は御影、次は御影でございます。・・・皆さん、この電車は御影から蘆屋までは停りません。住吉、魚崎、青木、深江の方々はお乗り換えを願います」

なんだか、今と殆ど変わらないような気がする。現在は特急も魚崎に停車しているところが違うけれど・・・。

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