メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

正教のミサ

昨日、正教会の日曜ミサは10時ぐらいになってから始まった。典礼は独特な抑揚による日本語で進められていたけれど、これはロシア語の典礼の抑揚を基調にしているようだった。

日本の正教会はロシアの司祭によって伝道されたため、ギリシャ正教ではなく、ロシア正教という趣きになっている。東方正教会と言えば良いのではないかと思うが・・・。

参席していたのは、日本人の方が5名ほど、それからロシア人女性らしい方が2名、ルーマニア人、モルドバ人、ブラジル人の男性が各1名、そしてギリシャ人男性が2名来ていた。

モルドバには、ガガウズ人と呼ばれるトルコ語を話す正教徒もいる。もしやと思って訊いてみたけれど、そうではなかった。イスタンブールのロシア教会にはガガウズ人がたくさん来ていて、トルコ語を流暢に話す彼らとは格別親しくなれたような気がする。

ところで、今、ウイキペディアでモルドバの項目を見たところ、モルドバのガガウズ人は自治区を構成していて、結びつきの強いトルコから援助を受けていると記載されている。宗教の枠を越えたトルコ語による連帯というのは実に興味深い。

ガガウズ人には、トルコから各地へ移住して行ったカラマンルというトルコ語を話す正教徒との関連が指摘されている。カラマンルは、イスラム教徒だったトルコ系の民族が改宗したとは考えにくいため、ギリシャ語か他の言語を話していた正教徒がトルコ語化された後も信仰は維持した結果ではないかと言われている。

カラマンルの姓は、~オウル(~の子という意味)とトルコ語的になっている場合が多いという。イスタンブールで生まれた映画監督のエリア・カザンは、アメリカへ移民する前の姓がカザンジュオウルだったそうだから、あるいはカラマンルの家系であるかもしれない。

(~オウルは、発音の面からすれば~オールの方が近いし、多くの日本語メディアがこちらを使っているので、今後はこれに倣うことにします)

さて、三ノ宮の正教会ミサだが、ブラジル人の男性は、家族の中で正教徒は自分だけであり、あとは皆カトリックであると言う。何故、正教徒になったのか日本語も話す彼にもっと訊いておけば良かった。

ギリシャ人男性2名も日本語を話すけれど、彼らが入ってきてギリシャ語を話しているのを聴いて、私はとても嬉しくなった。ギリシャ語は全く解らないものの、マリアさん一家との付き合いで、会話を聴いてそれがギリシャ語であることは直ぐに解るのである。

彼らの一人はキプロス島の出身であり、「トルコ語は解らない」と言いながら、私に席を勧める際、「オトゥル!(座れ!)」とトルコ語で叫んで笑っていた。

ミサの後にはピロシキとチャイが振舞われ、私もご相伴に預かってしまった。このロシア的なホスピタリティも嬉しい。イスタンブールのロシア教会と全く同じだった。