メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ウイグル料理「エペンディ」

 先週、送迎のマイクロバスを運転していて、博多駅からほど遠くない宮島交差点の付近で、「ウイグル料理/EPENDI」という看板を見つけた。
寮に帰ってから、ネットで検索したところ、ウイグルの人が経営する料理店のようである。それで、早速、昨日の夕飯を食べに出かけてみた。
11月1日以来、休日が変則的になって、まだ丸一日、まともに休んだ日がなかったように感じていたけれど、今週より、日曜日の昼の送迎を終えてから月曜日の夕方までが“休暇”と規定された。これなら、日曜日の晩が心置きなく使えて、却って楽しみが増えるかもしれない。
昨夕、6時半頃、博多駅の近くから電話して、営業を確かめたうえで店に向かった。歩くと15分ぐらいは掛かりそうなので、寒空の中を歩いた挙句、店が閉まっていたらショックだと思ったのである。
店に着くと、20席以上ありそうな店内はがらんとしていて、来客の姿はなかった。出迎えた店主らしき方に、「さきほど電話した者ですが・・」と言ったら、『分かっていますよ』という風に微笑まれていた。おそらく他に電話をかけた人もなかったのではないかと思う。
博多駅から歩いて15分」は、立地条件として余り良くないかもしれない。お陰で、ウイグルの麺料理“ラグマン”などでビールを2本飲みながら、店主のエンベルさんを独占して色々お話を伺うことが出来た。
“ラグマン”もイスタンブールで食べたものより美味しかったが、何よりエンベルさんの話が非常に面白かった。
カウンターにずらりと焼酎の瓶が並んでいたりして、そもそもイスラム的な雰囲気は感じられない。それに、エンベルさんの奥様は漢族の方だそうで、殆ど民族主義的な傾向も窺えなかった。
エンベルさんによれば、元来、ウイグル人イスラム信仰は至って緩やかなもので、飲酒も当たり前に行われていたのに、共産党が宗教を弾圧した所為で、ラディカルな宗教意識が芽生えてしまったらしい。
エンベルさんは、漢族の文明と伝統を評価しながら、それを根こそぎ破壊した共産党を激しく非難していた。トルコで知り合ったウイグル人の中に、中国の伝統を評価する人など、まずいなかったから、私はエンベルさんのお話しに、新鮮な驚きを感じながら聞き入っていた。
経済的な余裕があれば、毎週お邪魔して、焼酎など飲みながら、何時間もお話しを伺いたいところだ。
4ヶ月ほど前、中国の広州に在住している友人が、「・・漢族の風習を学ぶなら南で、北はモンゴルの熱いハートです」と書き送ってきたけれど、これを自分なりに解釈してエンベルさんに伝えたら、なんだか同意して頂けたようである。友人も交えて、こんな話の続きが出来たら嬉しい。

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