メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

ジュムフリエト紙記者らの逮捕

一昨日(11月10日)、シシリーの左派ジュムフリエト紙本社近くを通ったら、警官隊が本社前の通りを封鎖して、出入りする人を厳しくチェックしていた。一週間ほど前、ジュムフリエト紙のジャーナリストらが逮捕されたため、アタテュルクの命日を期して、左派アタテュルク主義者の人たちが抗議活動に集まっていたのだろうか?

すかさず、デジカメを取り出して撮影し、写り具合を確認していると、警察官が近寄ってきて、「撮影禁止です。消去してください」などと言う。

「解った」とだけ答えて、デジカメをポケットにしまい、その場から立ち去ったけれど、後を追って来るわけでもなく、それ以上のアクションはなかった。警察官は態度も言葉使いもなかなか紳士的だった。

90年代であれば、フィルムを抜かれて廃棄されていたかもしれない。この10年ぐらいで、警察官の態度などは非常に良くなった。

とはいえ、未だに「撮影禁止」なんて言ってるのは、ちょっと時代錯誤じゃないかと思った。デジカメだから目立ったものの、スマホでさりげなく撮られたら、取り締まるのも難しいだろう。最近は、私の安いデジカメより、遥かに写りの良いスマホもある。

もっとも、そんなことより、ジャーナリストの逮捕自体が、驚くべき時代錯誤だと言われてしまうに違いない。

しかし、先日、エロル・ミュテルジムレルというジャーナリストは、HDP議員の逮捕に反対しながらも、「他の政党や大統領と争っても構わないが、国家と争ったのは彼らの戦略的な失敗だった」と語っていた。

ジュムフリエト紙にも、多少これに近い状況はあったような気がする。反エルドアンでは、ジュムフリエト紙以上と思われるソズジュ紙に、大掛かりな手入れ等は実施されていないからである。

誹謗中傷や名誉棄損といった微罪で訴えられているジャーナリストは、確かにたくさんいて、これは日本でも報道されているようだが、逆にエルドアン大統領らを訴えているジャーナリストもいる。訴訟を起こすのはさほど難しくないらしい。

そもそも、エルドアン大統領とAKP政権が、司法を掌握しているわけでもない。政権に協力的なのは、能力の劣った日和見主義の検察官ばかりだという声も聞かれる。かつては、ギュレン教団系の有能な検察官らを頼りにしていたが、彼らを排除しなければならなくなって、今や掌握どころではない状態かもしれない。

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アメリカのトランプ時期大統領も、毀誉褒貶が激しい。私はテレビの画面に映っている姿しか知らないが、そこから読み取れるのは、とにかく、70歳とはとても思えないほど「若々しい」という印象だけである。

最近、一線で活躍しているような人物は、随分若く見える人が多くなったけれど、まあ、トランプ氏も日々体を鍛えて節制を怠っていないのだろう。私などは、それだけでも称賛したくなる。決して馬鹿でも豚でもないのは確かだと思う。


*写真:一昨日のジュムフリエト紙本社前の通り。

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