メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

私たちはモンゴロイド顔で良かった?

エルドアン大統領夫妻と断食明けの食事を共にした家族は、まだ丸い卓袱台を使っている。都市部では、椅子とテーブルの家庭が増え、卓袱台を囲んで床に座る伝統的なスタイルは、今や非常に珍しくなった。
それでも、靴を脱いで家に上がる習俗は、大概、守られているようだ。一昨日~昨日の通信に添付した動画や写真を見ると、エルドアン大統領も、私の友人の所を含めて、例外なく、靴を脱いで家に上がっている。

トルコでは、長い間、西欧化の過程で、靴を履いたまま家に入るスタイルが奨励されてきた。今でも、テレビドラマなどを見れば、そこに描かれている“模範的”な家庭は、この西欧スタイルであるらしい。
しかし、私が20数年来、トルコの家々を訪れて来た中で、靴を脱がなかったのは、故マリアさんの旧宅等、ルムの人たちの家だけである。これは、その他あまりハイソサエティーなトルコの人たちと縁がなかった所為じゃないかと思う、。
2001年7月のヒュリエト紙の記事によれば、ハイソサエティートルコ人は、靴を脱いで家に上がるトルコ風(田舎風)な人たちに、なんとも言えない嫌悪感を懐いて、拒絶反応を見せたそうだ。当然、大統領とあろう者が、卓袱台の前で胡坐をかいている姿を見たら、戦慄を覚えてしまうに違いない。
日本も、明治の初期には、鹿鳴館でダンスを踊ったりして、生活スタイルや服装から西欧化を徹底しようと努めたけれど、そのうち、いくら徹底しても、モンゴロイドの顔はどうにもならないことに気がついた。それで結局、徹底的な西欧化は諦めてしまったのだろうか?
トルコ人の場合、スタイルさえ西欧化すれば、外見は西欧人と見分けがつかなくなるため、鹿鳴館のダンスでも、ある程度は満足を得られたかもしれない。
満足できなかった日本人が、「気持ちを入れ替えて、富国強兵に邁進した」ということなら、私たちはこのモンゴロイド顔に感謝しなければならない。モンゴロイド顔で本当に良かった!

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