メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコとロシア

オスマン帝国の時代には何度も激しい戦争があり、冷戦の時代も西側陣営の一員として対峙させられていたため、トルコはロシアと犬猿の仲であるかのように言われていたけれど、国家体制はともかく民衆レベルでは、トルコの人々がロシアにそれほど悪感情を懐いてきたとは思えない。
西欧に対するような憧れもない代わり、コンプレックスや憎しみもなく、文化的には似通ったところが多いと親しみさえ感じてきたのではないだろうか?
イスラムの信仰に篤い保守的な友人は、西欧のクラシック音楽を聴かせても、「我々の心に響く音楽じゃない」と否定的だったが、チャイコフスキーのスラブ行進曲には、やたらと感動していた。
それがロシアの音楽であると承知したうえで、感動してみせたような気もするけれど、『西欧と違ってロシアは自分たちに近い』と認識していたのは間違いなさそうだ。
イスラム東方正教会の間には何の問題も存在していない。問題なのはプロテスタントである」と語っていた保守的な友人もいる。
トルコで、ロシア人との婚姻は、他の外国の人たちと比べて非常に多いらしい。
昨日(8月13日)のサバ―紙のコラムで、シェラーレ・カダック氏は、先日、エルドアン大統領の訪露に随行したアナドル財閥のオズィルハン会長の言葉を紹介していた。オズィルハン会長によれば、トルコとロシアは、各々に欠けているものを補完し合える間柄であるという。
ところで、カダック氏のコラムには、1980年以来、ロシアへ60億ドルを投資してきたアナドル財閥が、現在、ロシアで6ヵ所のビール工場を運営しているとも記されていた。ロシアのビール需要をトルコが補ってあげているなんて、なんだか痛快である。

*トルコの有名なビールのブランド“エフェス”を所有するアナドル財閥は、他に“いすゞ自動車”との合弁事業でも知られている。2015年には、トルコで最大手のスーパーマーケットチェーン“ミグロス”を買収したそうだが、経済欄をあまり見ていないので、このニュースも知らなかった。“ミグロス”はずっとコチ財閥だと思っていた。