メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

お茶専門の喫茶店

最近、ウスキュダルに開店した“お茶専門の喫茶店”。なかなか意匠を凝らした造りになっていて、ティーポットやカップなども全て店主がデザインしたそうである。
昨日は、7人ぐらいのグループと二人連れの客が二組いたけれど、いずれも若い女性で、グループの中の一人を除いて、全員がきっちりとスカーフを被っていた。
ここに寄ったのは、昨日が2度目だから、こういう客層が多いのか、たまたまなのか、その辺のところは良く解らない。ウスキュダルという場所柄もあるだろう。前回は、何も被っていない若い女性と青年のカップル、それから、やはりスカーフを被った若い女性が一人でお茶を飲んでいた。
日本で洒落た洋菓子の店を覗いたりすると、若い女性ばかりで、昔はなかなかそういう店に入る度胸がなかったけれど、この頃は歳をとって、いくらか面の皮が厚くなったのかもしれない。
グループの女性たちの賑やかな様子をちらっと観察して見たところ、当たり前な話だが、その年頃の他の女子学生と比べて何の変わりも感じられなかった。携帯で写真を撮り合ったり、意見が合って喜んだのかハイタッチしてみたり・・・。
バスの時間を待つために入ったのだから、もう少し座っていたいところだったが、やっぱり何となく気まずくなって、茶を飲み終わると、さっさと店を後にした。
もう26年前になるけれど、88年の冬のソウルで、私は若い女性ばかりの喫茶店に入れず、店の前で1時間近く立ちつくしたことがあった。
下宿に、知り合いの韓国人から電話が掛かってきて、ちょっと出てこないかと言う。4歳ぐらい年上だったので、長幼の序にうるさい韓国では、向こうがかなり“先輩”である。「はい、解りました」とお答えし、先輩の指定した“グリーンハウス”という、梨花女子大の正門前にある喫茶店に赴いた。
しかし、ガラス張りの店内には、覗くまでもなく、女子大生しかいないことが明らかだった。とても店内に入る勇気はなく、店の前で先輩を待った。冬のソウルは寒い。1時間近く待ったら、もう凍えそうになったので、そのまま下宿に帰った。
そしたら、下宿にまた先輩から電話が掛かってきた。「なんで来なかったんだ! 店に電話したら、“男性のお客様はいらっしゃいません”と言われたぞ」と怒っている。
これは、当時、先輩格の韓国の人が良く使う手だった。呼び出した店に電話を掛け、来店を確認してから、悠然とやって来るのである。
私もさすがに少しムッとしながら、店の前で1時間待ったと釈明し、「何故、店に入らなかったのか?」という当然の問いには、「あんな女学生ばかりじゃ恥ずかしくて入れませんよ」と正直に答えた。
これに先輩はゲラゲラ笑い出し、「そうだろ、だからあそこにしたんだ。男の客なんてまずいないから、店に電話すれば、来ているかどうか直ぐに確認できるしね。それで、綺麗な娘がいたら、君に引き合わせてあげようと思ったのに、残念だったなあ」と愉快そうに言った。
まあ、今度、日本や韓国へ行ったら、ああいう女子専用の喫茶店にも出かけて、連中の様子も観察して比較できると良いかもしれない。

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