メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの人たちと携帯電話

バスの車内のカップルには驚かされたが、その前の日だったか、バスの横を走っていたオートバイの運転手のパフォーマンスもなかなか見事だった。
あの日も、バスの最後尾の窓際に座って、ぼんやり窓の外を眺めていた。バスは高速道路を走行中で、窓の向こうには、平行して走っているオートバイが見える。道路は暫く直線が続いていた。
オートバイの運転手は、ちゃんとヘルメットを着用して、その服装もライダーに相応しいものだったが、やおら片手をハンドルから離すと、何処からか携帯電話を取り出し、さらにもう片方の手も離して、携帯のキーを押し始めたのである。
驚いて、その後の動きを注視しようとしたけれど、両手をハンドルから離したオートバイは瞬く間に減速し、バスの後ろの方へ下がって行く。後ろを振り返って、オートバイの様子を追ってみたものの、距離が開き過ぎて良く見えない。
ヘルメットを被っていたから、まさか通話は出来なかったと思うが、メッセージでも確認しようとしたのだろうか? オートバイは暫くの間、遥か後方を走っていたが、そのうち速度を上げて、悠然とバスを抜き去っていった。
バスの窓から外を見ていると、隣を走っている乗用車の中なども良く見えてしまうけれど、運転しながら携帯を手にしている人たちの多さに驚く。乗っているバスの運転手も携帯で延々と話していたりする。
隣を走る乗用車で、運転席と助手席、後部座席に座っている3人の男全てが、各々携帯を耳にあてがっていたのを見てのけぞったこともある。
車を運転していてもこれだから、もちろん街中の有りとあらゆる所で、携帯を取り出して話す。公衆便所の中も例外じゃない。いつだったか、フェースブックに次のような体験談がシェアされていた。
その人が、高速のサービスエリアで用を足そうとトイレの個室に入ったところ、隣の個室から「メルハバ!」と声が掛かった。それで「メルハバ」と挨拶を返し、尚も隣から聴こえてくる「何処に向かっているのか?」といった問いに、いちいち「イスタンブールです」などと答えていたら、声の主がこう言ったそうだ。「おい、一旦電話を切るよ。隣の奴がいちいち返事をしてきてうるさいんだ!」
この話、何処でもどんな状況でも挨拶しようとするトルコ人の特性も現れていて、なかなか面白かった。