メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イエニドアン-ラマダンの昼飯事情

うちの近所で外食するのは、月に2回ぐらい、ジャー・ケバブ屋さんに行くだけだけれど、ここはラマダンに入ってから閉まっている。それで今日は、果たしてこの辺に昼飯を出している店があるかどうか、少し歩いて見ることにした。
ジャー・ケバブ屋さんの向かいにある軽食店は、いつも通り営業しているが、あるのはチャイにコーヒー、ボレッキやピザぐらいで、昼飯と言えるようなものはない。
そこから先へ、さらに10分ほど歩けば、営業しているレストランや軽食店が数軒ある。その辺りには、工場等も散在しているから、ラマダン中も、ある程度は商売になっているのかもしれない。
いつだったか、ジャー・ケバブ屋のお父さんに、「あの辺で店が出せればどうだろう・・」と訊いたら、確かに場所は良いが、家賃もそれなりに高いそうだ。
さて、うちからジャー・ケバブ屋さんとは逆の方向に出ると、さらに長閑な風景になってしまうけれど、時々、買い物に行くスーパーの隣に食堂があったので、先ずはそこまで歩いてみた。
この食堂はやはり営業していなかったが、もう少し足を延ばしたところ、店頭で“タヴック・ドネル(鶏の回し焼き)”を焼いているケバブ屋が見えたので、そこで食べてみることにした。
店に入ったら、昼の1時というのに、お客の姿はなく、メニューもタヴック・ドネルとピラフにスープしかないそうだが、他に何か期待していたわけでもないから、タヴック・ドネルとピラフを注文した。
40歳ぐらいのおじさんと彼の息子らしい少年が働いている。おじさんは断食中らしい。「すみませんねえ・・」と言ったら、「いや、良いんですよ。これが私の仕事ですから・・・」と微笑んだ。しかし、断食しながら飲食店をやるのは大変だろう。
料理が出て来て食べていると、30歳ぐらいの男が入ってきた。おじさんに「何が出来るの?」と訊き、タヴック・ドネルとピラフ、それにスープを注文してから、勝手に冷蔵庫を開けてコーラを取り出し、少し離れた席へ、おもむろに腰掛けた。どうやら常連客のようだ。
それから、客は2人来た。一人は、やはり30歳ぐらいの男で、店内をぐるりと見渡して、タヴック・ドネルぐらいしか無いことが解ると、何も訊かずに首を振って出て行った。
もう一人は、50歳ぐらい。おじさんが「タヴック・ドネルとピラフ、スープしかないんですが・・・」と言っても、「何か他に出来ないの?」としつこく訊く。おじさんは困った顔しながら、「ラマダン中なんで、これぐらいしか用意していないんですよ」と答え、男は少し躊躇ってから、残念そうに「それじゃあ」と言い残して店を後にした。
ラマダン中なのは、異教徒の私でも知っているのにねえ・・・。よっぽど何か食べたかったのかもしれない。

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