メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの人たちの国際感覚

クズルック村の辺りには、実に様々な民族の人たちが暮らしていた。“民族の博物館”と言っても良いくらいじゃないかと思った。ラズ人、チェルケズ人、グルジア人、アブハズ人等々・・・。
もちろん、トルコの全域がクズルック村のようになっているわけではない。周囲にトルコ語以外の言葉を話す人々もいなければ、異なる文化と交流する機会もない環境で育った人もいるだろう。
トルコ共和国は、トルコ民族の国を作り上げようとした為、オスマン帝国時代の多様性は大分失われてしまったらしい。しかし、50年代以降、ドイツ等への移民が始まると、今度は西欧と直に繋がりを持つ人たちが急速に増えて来たようである。
イエニドアンは、イスタンブールの外れの庶民的な街だが、この街でも西欧に移住した親族を持つ人は驚くほど多い。廃品回収屋さんにもジャー・ケバブ屋さんにも、西欧で暮らしている親族がいて、連絡を取り合っているそうだ。
良く考えて見たら、私のトルコ人の友人の大部分は、西欧に親族がいる。だから、最低の教育しか受けていなくても、結構ドイツやフランスの事情に詳しかったりする。
イエニドアンの人たちも、「トルコは強いぞ!」と言いながら、ロシアと戦争になったらやばいことぐらい皆解っている。今日(13日)、昼飯を食べたジャー・ケバブ屋の親爺さんも、「強力なトルコ軍は、我らが国境を侵す者を全て撃退する! でも、国境の外には出て行かないよ」と笑っていた。
現在、AKP政権を支持している「信心深い庶民」の中には、こんな人たちが少なくない。トルコの民度は相当高いと思う。
それにひきかえ、AKPとエルドアン大統領の全てに拍手喝采したり、逆に全てを誹謗中傷したりしている“知識人”のレベルはどれほど高いのかと考えてしまうけれど、テロまで政争の材料にして、何とか政権を躓かせようとする勢力もあり、まるで「仁義なき戦い」の様相を見せているため、どちらも引くに引けない状況に陥っているかもしれない。

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