メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

仁義なき戦い

昨日(13日)のアンカラ自爆テロは、クルド武装組織PKKの犯行という説が有力のようだ。

南東部のクルド地域におけるPKKの掃討作戦は、いよいよ大詰めを迎えていて、あと一歩のところまで来ているという。そのため、PKKは公然と、「次は大都市を狙う」と警告していたけれど、それが実現してしまったらしい。追い詰められて、もうなりふり構わない状態になっているのではないだろうか。

もちろん、警告されていたのだから、当局は対策を講じていたはずだが、90年代のように、「南東部出身のクルド人でPKKのシンパである」程度の理由により、強引な捜査を進めることも出来ず、事前の摘発は困難を極めているに違いない。

PKKへの共感を隠そうともしないクルド人なら、私の友人の中にもいる。彼らは、フェースブックなどで、それを公にしているし、何処にオフィスを構えて、どういう仕事をしているのかも明らかだ。

しかし、共感しているだけで、実行が伴っているわけじゃないから、捜査の対象にされる恐れは今のところないようである。

そもそも、PKKの出先機関であることが既に疑いもない政党HDPの議員らによる挑発行為に対しても、政府は介入を躊躇っているように見える。

議員権の剥奪などに踏み切ると、「トルコ政府はクルド人の政治活動を弾圧している」という宣伝材料を彼らに与えてしまうからだという。

つまりテロによって、トルコ政府の無能ぶりを印象づけ、強引な対策を実施すれば、「弾圧だ!」と騒ぎ立てる。仁義もへったくれもない。

もっとも、歴史上の数多の戦争や、現在の中東の状況を見たら、仁義のある戦いなど望んではいけないだろう。ましてや、「平和を愛する諸国民の公正と信義」なんて、いったいどうやって信じられるのか?