メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

スルタンベイリ~サルガーズィ(ラマダンの昼飯事情)

イスタンブールの東端に位置するスルタンベイリは、非常にイスラムが濃い地域として知られている。
5年前の夏、世俗主義者の友人たちが、「スルタンベイリではイスラム化が進み、女性がスカーフを被らずに、ノースリーブ等の肌の露出が多い服装で街を出歩くこともままならない」と危機感をつのらせていたので、私もわざわざスルタンベイリまで様子を見に行ったことがある。
確かに、道を行く女性たちの8割近くが、スカーフを被っているような印象を受けた。しかし中には、ノースリーブの軽装で颯爽と歩く女性の姿も見られ、そういった女性と腕を組んでいるスカーフ姿の女性もいた。
その時、世俗主義の野党CHPの地区支部にも寄って、話を伺ったところ、当時は、さらに10~15年前の状況と比べれば、少し良くなっていたらしい。かつては、「丈の短いスカートを着た女性が街を歩こうものなら、周りの男たちからもの凄い目で見られた」そうである。
以降、暫くスルタンベイリへ行く機会はなかったが、2年前、イエニドアンに引っ越してからは、バスで30分も掛からない距離に近づいた為、時々出かけるようになったけれど、この5年の間に、それほど大きな状況の変化があったようには思えない。相変わらず、スカーフを被った女性は多いが、短いスカートやノースリーブの女性もいる。
昨日の昼は、このスルタンベイリで、ラマダンの様子を見て来た。
メインストリートを歩いて見ると、やはり多くの飲食店が休業している。「ラマダン中は、イフタル(日没後の断食明け)に営業します・・・」と張り紙を出しているレストランもある。
しかし、所々営業中の店があって、店頭でドネルケバブを焼いていたりするのが見えた。その中の一軒に入ってみたところ、周囲に休業している店が多い所為か、もう2時近かったけれど、店内は8割方の席が埋まっていた。
私はドネルケバブを頼んだが、後から来た客が「煮込み料理はないの?」と訊くと、店員は、「煮込み料理はクルファスリエ(いんげん豆)しか残っていません。他は売り切れてしまって・・・」と答えていた。結構繁盛しているに違いない。
昼飯を済ませ、スルタンベイリからバスに乗って10分ほどのサルガーズィまで来たら、飲食店は何処も普通に営業していて、昼の2時半と言うのに、メイハーネ(居酒屋)まで開いていた。
サルガーズィには、アレヴィー派の人たちが多いため、イエニドアンやスルタンベイリとは違う雰囲気も感じられる。しかし、スンニー派の保守的なムスリムも少なくない。
オルチ(断食という意味)という名称のレストランなど、私はそういう保守的な人たちの店かと思っていたけれど、ここも平常通りに営業していた。名称に、特に宗教的な意味合いはなかったようだ。

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