日本で、IPS細胞を使って心臓手術を実施したと虚偽の発表を行った人物が話題になっているけれど、これを聞いて私は“アニリール・セルカン”というトルコの人を思い出してしまった。
セルカン氏も嘘ばかりの履歴や盗用した論文などを使って東京大学の研究室にもぐり込んでいたようだが、IPS細胞の事件と言い、“天下の東大”はそんなに騙されやすいのかと心配になってしまった。
でも、逆に考えると、“天下の東大”はそれほど閉鎖的じゃなくて、少々怪しげな人物も受け入れてしまうほどオープンな体質なのかもしれない。
独創的な発想をする学者の中には、少々怪しげで履歴さえ何だか解らない人物もいるのではないか? 騙されるのを恐れて門戸を狭めてしまったら、そういう人物まで取り逃がしてしまうことになる。だから、大袈裟に心配しなくて良いような気もする。どうなんだろう?
セルカン氏には会ったこともないし、その著作どころか詳細な紹介記事さえ読んでいなかったけれど、氏が流暢な日本語で語っている場面を“YouTube”で見ながら、トルコ・フリークの一人として、その後の活躍に期待していた。
論文の盗用などがばれて事件になってから、詳細を読んで見ると、“トルコで初めての宇宙飛行士”だとか、“スキーでオリンピックに出た”とか、ちょっと調べれば解るような嘘が満載だった。
トルコにいれば、そういう話が全く話題になっていないから、直ぐに怪しいと解ってしまう嘘ばかりだ。セルカン氏、虚言癖なんてものじゃなくて、誇大妄想狂とか虚言病といった精神的な問題があったかもしれない。
しかし、その流暢な日本語から窺える語学力は大したもので、思わず感心しながら、その後の活躍を期待してしまうほどだった。
非常に頭の良い人物であることは間違いない。でも、頭の使いどころが間違っていた。今、何処で何をしているのだろう?
さすがに顔が知られてしまったため、もう日本では、次の嘘もつけないが、語学力に秀でた氏のことだから、たちまち余り知られていない国の言語をマスターしてしまい、その国の研究機関にもぐり込んでいるかもしれない。
そこではどんな壮大な嘘をついているのか? ちょっと想像してみたら面白い。