メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコ人と中華料理

ここ数年でイスタンブールには中華料理の店が本当に増えました。お客さんもその殆どはトルコの人たちでしょう。いよいよトルコにも“中華の味”が定着しつつあるようです。
91年にイズミルトルコ語教室で勉強していた時のことですが、同じ教室にいたのは、ドイツ人、アメリカ人、オーストラリア人、そして、石油王のドラ息子みたいなサウジアラビアの青年。
ある日、美人講師のファトシュさんが、会話の授業で「世界一美味しいのは何処の料理か?」と順に各受講生へ質問したところ、欧米勢の答えは全て“フレンチ”。
明らかに「トルコ料理」という回答を期待していたファトシュさんは多少がっかりしたようだけれど、欧米勢がそう答えるのは想定済みと見え、それほど落胆した様子もなく、直ぐに気を取り直すと、今度は自信ありげに「マコト、君はどう思う?」。
これに私が自信を持って「中華料理!」と答えると、彼女はあからさまに嫌な顔をしたものの、次に控えているのはサウジアラビアの青年だったから、最後の期待を込めて微笑みながら「アリはどう思う?」。
するとアリが、ピクリともせずに「僕もマコトと同じ考えだよ。中華料理が一番美味しい」なんて言い退けたものだから、ファトシュさんは明らかに狼狽しながら「信じられない、本当にそう思っているの?」と食い下がったけれど、これに対してアリは、冷たく微笑んで「トルコ人は世界を知らないからな」と嘯いて見せました。
あれから15年、中華料理を食べ始めたトルコの人々は、ついに“世界を知った”ということなんでしょうか?

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