メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

wagamama

イスタンブールに「wagamama」というレストランがオープンしました。本部はロンドンにあり、英国に39店舗、世界中で60店舗も展開しているそうです。

“ワガママ・ラーメン”が、一杯15YTL(約1200円)。他に、ギョーザやヤキソバ、カレーライスなど、日本の安い食堂にありそうなメニューは大概そろっていて、店の造りも、5~6列ずらりと一直線にテーブルを配置し、隣の客と袖が触れ合うほどに所狭しと椅子を並べたところは、大衆食堂のそれと全く変わりません。

しかし、値段からすればトルコじゃ高級レストランの部類でしょう。

ロンドンで流行っているという話題性の為か、昼の時間帯に行ったら長蛇の列、待っているのは、パリッとしたスーツ姿の紳士やシックに着こなした淑女ばかりです。

10分ほど待ってから、紳士と淑女に挟まれた窮屈な席に案内されたのですが、テーブルの上には箸が置かれているだけで、フォークなどは用意されていません。

隣の若い紳士二人連れを見ると、器用に箸を使って、具が盛り沢山の高そうなラーメンとギョーザを食べていました。

ラーメンを待っている間に枝豆も食べていた形跡が残っていたけれど、ビールは飲んでいなかったようです。一人はロンドンの店でも食べたことがあるらしく、料理について色々と薀蓄を傾けていましたが、ロンドンじゃ枝豆はコーラで食べるものなんでしょうか? 

それから、この紳士、会計する際に、女性の従業員をつかまえて、急に英語で喋りだしたので「えっ?」と思ったら、この女性は英国人で、トルコ語は解らないみたいです。

私の周りにいた紳士淑女は皆トルコ語を話していたけれど、場所柄、外国人のお客さんも多いので、彼女のような従業員もいるのでしょう。あるいは管理の為にロンドンから派遣されて来たのかもしれません。

所望すればフォークぐらいは出してくれそうですが、辺りにフォークを使っている人は全く見当たらないほどで、はす向かいの淑女は“スパゲッティ・トマトソース風”の一皿を、これまた器用に箸を使って召し上がっていました。

隣の淑女のところへ運ばれて来たのはカレーライス、これにはさすがにスプーンが添えられています。しかし、このカレーライス、さえない薄黄色で具の姿はほとんど見えず、日本じゃ近頃は田舎のドライブインでもなかなかお目にかかれそうにない代物でした。

さて、私が実際に食べてみた“ワガママ・ラーメン”ですが、まあ味についてとやかく言うのは差し控えましょう。丼がプラスチックだったのは御愛嬌じゃないかと思います。

両脇をおハイソな方々に固められ、通常なら私のような者は萎縮してしまうところですが、この場に限っては、何だか辺りを睥睨してしまいたくなるような心持になりました。

ただし、お値段の方は想像より遥かに高く、私にとっては3日分の食費に相当、今後暫くは家で具のないスパゲッティーを食べ続けるつもりです。