メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

「移動の自由」があれば良いけれど・・・

今年は初詣に京都へ行こうかと思っていたが、結局、自宅から自転車で行ける所で済ませた。京都まで足を延ばしていたら、日帰りでも結構な出費になっていただろう。

考えて見ると、配送の仕事を始めて以来、この2年の間に一度も京都を訪れていない。

三宮で警備員をしていた頃は、夜勤明けに、度々京都や奈良へ出かけたけれど、あれは三宮までの電車賃が含まれていないところがミソだった。今、高砂市から京都まで自費で行こうとすれば、相当な金額になってしまう。

警備員の勤務は24時間だったため、勤務が終わると、それはいつも「夜勤明け」になっていた。一応、3時間ほどの仮眠もついていたし、勤務自体、非常に楽だから、「夜勤明け」に元気一杯飛び回ることも可能だったのである。

しかも、深夜の時間帯は、ほぼ座っていれば済んだので、その時間を利用して読書に励むことができた。あの2年間にいったいどのくらいの本を読んだだろう?

警備員という仕事は、非常事態に備えるためのものであり、「非常事態」がなければ、殆ど何もすることがなかった。

もちろん、非常事態に対応するための訓練は、頻繁に行っていたものの、実際、非常事態が生じたら、パニックを起こさずに訓練通りに行動できたかどうか甚だ心許ない。2年の間に何も起こらなかったのは本当に幸いだった。

先達ての羽田空港における事故で、奇跡的に乗客全員が救出されたことをトルコの報道番組も「高度な訓練の成果」として最大級の賛辞を惜しんでいなかったけれど、やはり「CA」は正しく体育会系であり、厳しい訓練に耐えて、それを完璧に履行できる資質が備わっていたのだと思う。

2年前、私はその有難かった警備員の仕事を止めて、今の配送の仕事に転職したわけだが、そこには『もっと収入を増やしたい』という気持ちがあった。

けれども、実際のところ、収入は全く増えていない。

面接では、「20時ぐらいまでの残業が当たり前にあり、残業で稼ぐことが出来る」と言われたものの、この2年間で20時まで残業したのは数えるほどしかないのである。

しかし、「残業で稼げる」は決して釣り文句じゃなかったようだ。前年までは相当な仕事量があったらしい。一昨年の春は、それに備えての応援要員まで来ていた。

昨年は、応援要員も来なかったし、一昨年に比べても明らかに仕事量が減っていた。何だか、日本の経済状況の全てが反映されているかのように思える。

お陰で、このブログにも相当数の駄文を書き連ねることが出来た。特に、昨年は、大統領選挙に関するトルコの報道を結構詳細に追うことができて良かった。今では、定時に上がれることを喜んでいたりする。

とはいえ、経済的には、このままで決して良いはずがない。せめて「移動の自由」は確保しなければならないような気がする。