ロシアのラブロフ外相がトルコのアンカラを訪問し、ウクライナの穀物を安全に輸出させる方法についてチャヴシュオール外相と協議したことは日本のマスメディアでも大きく報じられていた。
しかし、ほぼ時を同じくして、ベネズエラのマドゥロ大統領もアンカラでエルドアン大統領と会談していたのは殆ど報じられていなかったのではないかと思う。
いずれにせよ、米国が目の敵にしている二つの国の首脳がアンカラに来ていたのである。アンカラでお互いに接触していたのかどうか解らないが、なかなか興味深く感じられてしまう。
以下のユーチューブの動画は、そのマドゥロ大統領とエルドアン大統領の記者会見の模様だが、エルドアン大統領が「はい(エヴェット)、では最初の質問はベネズエラの報道陣からどうぞ・・」と言おうとして、「はい(エヴェット)」と切り出したところ、マドゥロ大統領もそれを真似して「はい(エヴェット)」と言ったので、エルドアン大統領も思わず笑って、次の言葉を言い淀んでしまった。
マドゥロ大統領は「独裁者」などと揶揄されているけれど、ちょっと茶目っ気のある人柄らしい。
2019年の1月、CNNトルコのジュネイト・オズデミル氏がベネズエラでマドゥロ大統領にインタビューした際には、次のような一幕も見られた。
オズデミル氏がマドゥロ大統領に、米国務長官から独裁者呼ばわりされたことへの感想を尋ねると、突然、ベネズエラ情報部の長官がカメラの前に割って入り、インタビューを中断させる。(以下の動画で12分40秒頃)
情報部長官は、オズデミル氏へ、「あと2つだけ質問してよい」と迫ったが、これにマドゥロ大統領が介入して、3つの質問を許可する。そして、マドゥロ大統領は、自らカメラに向かって「アクション!」と声をかけて、インタビューの再開を促し、これまたお茶目なところを見せていたのである。(13分20秒頃)
しかし、インタビューを中断させた情報部長官の態度は、マドゥロ大統領に対しても非常に無礼だったように思える。茶目っ気のある「独裁者」が何だか頼りなく見えてしまった。