メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

暗殺のリスク

昨日(12月15日)、日本を訪れたロシアのプーチン大統領、到着が2時間以上遅れたため、その理由を巡って様々な憶測が飛び交っている。
予定時間を守らない行動には、襲撃といった不測の事態を避ける狙いもあるような気がするけれど、どうなんだろうか?
エルドアン大統領も、予定を急に変えたりすることがあるらしい。クーデター事件があった7月15日には、休暇先のマルマリスで、大統領府の別邸に滞在せず、近くのホテルに泊っていたという。
エルドアン大統領に対しては、今でも“暗殺テロ”の噂が絶えないから、それこそ万全の警護体制が引かれているのだろう。一服盛られるのを警戒して、飲食にも充分注意しているそうだ。
プーチン大統領に関する日本の報道にも、やはり「毒殺を恐れて云々」という話が出ていた。この両大統領は、何だか、いつも同じようなネタで話題されてしまう。
もう一人、フィリピンのドゥテルテ大統領と共に、“独裁者”“強面”“不良”なんて揶揄されたりしている。
しかし、プーチン大統領ドゥテルテ大統領が、それぞれKGBに検察といった国家機構の中枢を歩んできたのに比して、エルドアン大統領は、体制から抑圧を受けていた“イスラム主義運動”に加わって頭角を現したアウトサイダーだった。
2002年、AKPが選挙に勝って政権を得た段階では、宗教扇動罪により被選挙権を剥奪されていたため、立候補すら出来ず、翌年、ようやく被選挙権を回復して、補欠選挙議席を得たくらいである。
当時も、エルドアン氏は「国家にとって好ましくない人物」として、いつ消されても不思議ではないように言われていた。
おそらく、司法、軍部、諜報機関の全てに敵対者がいたような状態であり、そのリスクは他の“独裁者たち”と比較にならないほど大きかったに違いない。
現在でさえ、エルドアン大統領が全幅の信頼を寄せて拠り所にしているのは、そういった国家機構じゃなくて、国民そのものであるような気がする。そのため、いくつものリサーチ会社を使って世論調査には抜かりがないらしい。