先日、夜勤明けに三宮の駅まで歩いたら、途中、真新しいビルの正面に、日章旗とパキスタンの国旗が掲げられているのを見た。
どうやら、そのビルは「JAN TRADING」という企業の社屋らしいが、何故、パキスタンの国旗も掲げられているのか気になって調べてみたところ、パキスタンの人によって創業された中古車売買の会社のようである。
いつ頃からか、中古車の売買や廃品回収といった分野で、イランやパキスタンの人たちの活躍が目立つようになっていた。
一昨年まで過ごした福岡にも、廃品や廃車の解体と再利用を主とするパキスタン人経営の会社があった。
「JAN TRADING」はその中でも大成功者と言えるのではないかと思う。
福岡で知り合ったパキスタンの友人たちにも、こういうサクセスストーリーがあると期待したい。
しかし、以下のYouTubeの動画で見られるように、派手なオープニングセレモニーを実施したりして、ちょっと見栄を張り過ぎている雰囲気も感じられる。
現在、様々な分野で外国から移民してきた人たちが活躍している状況を考えると、中にはトルコ人が起業して大成功を収めた会社もあるかもしれないけれど、トルコ人はパキスタンの人たちに比べたら多少控えめだから、これほどまでに派手なセレモニーはやらないような気がする。
88年に韓国へ語学留学していた頃、ソウルオリンピックを前にして、KBSでは、参加国の子供たちが自国を紹介するという番組が放送されていた。
その第1回目は韓国だったが、もの凄い豪邸でお姫様のように着飾った女の子による「生活と文化」の紹介に驚かされた。
一緒に観ていた下宿の韓国人大学生らは、「こんな生活しているのが我が国の何処にいるんだ!」と憤慨し、とても恥ずかしがっていた。
しかし、パキスタンのそれは韓国を遥かに上回り、豪邸というよりお城のような所の生活が紹介されていたと記憶している。
下宿の大学生たちも「我が国より程度の低い国があって良かった」とホッとした表情で語っていた。
私は、子供の頃から気になっていたトルコが、どういう紹介の仕方をするのか注目していたけれど、少し高級なアパート(日本で言うマンション)に住む家族のごく普通な娘さんが出て来たので、何だか妙に安堵したのを覚えている。
日本の紹介は、逆の意味で極めつけだった。平屋の木造アパートから元気な女の子がその生活を紹介していた。おそらく、シリーズの中で最も貧しそうな生活だった。
私は鬼の首でも取ったかのように、下宿の大学生らを見渡しながら、「君たちは日本の経済援助が足りないと文句言ってるけれど、こんなに貧しい人たちがどうして豪邸に住んでる人たちを援助しなければならないのか!」なんて得意になり、学生たちは見るも哀れなくらい意気消沈していた。
しかし、「凄い日本!」を喧伝して止まない今の日本を見たら、私たちの方が恥ずかしくなってしまいそうだ。
人間は何処の国でも、引け目を感じていると、余計に見栄を張りたくなってしまうのかもしれない。