メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

高校の寮の衛生状況

コロナウイルス対策として政府が勧めた休校処置が話題になっている。学校の寮が閉鎖され、生徒が帰宅している例もあるそうだ。

40数年前、私が全寮制の高校に在籍していた頃、感染症の拡大が騒ぎになり、当局者があの寮を視察していたらどうなっていたか? 当局者は寮の不潔さに驚き、即刻閉鎖で大掛かりな防疫処置が取られ、ニュースになって恥をさらしていたような気もする。もっとも、当時はウイルスの研究が未だそれほど進んでいなかったため、「変な病気が流行っている」で済んでしまっていたかもしれない。どうなんだろう?

高校の寮では、清掃が生徒に任されていたので、ずぼらな生徒が集まっている部屋は、なかなか凄いことになっていた。自分たちは気が付かなかったけれど、育ち盛りの男子が8人寄せ集まった臭気だけでも堪え難いレベルだったに違いない。

全校生徒が利用する大浴場も見事だった。脱衣場は、濡れたまま上がって来る生徒もいて床板が湿気ていた所為か、妙な匂いが漂っていた。浴槽は、部活で汚れた体を流さずに入る先輩もいたため、後から入ると濁った湯の底の方がざらっとしていたりした。

後年、世話になったトルコの学生寮は、賄いのおばさんが掃除もしてくれたし、部活をやっている学生もいなかったから、汗臭い柔道着が干してあることもなければ、悪臭を放つスポーツシューズが転がっていることもなかった。

また、韓国でもトルコでも、一般的な会食の際、大皿から各自のスプーンでそのまま口に運んだりするので、これに驚く日本の人たちがいるそうだけれど、高校の寮でも私たちは食器を共用したりして似たようなことをしていた。私は、韓国の下宿でも、トルコの学生寮でも何一つ驚いたりしなかった。最初から当たり前に暮らすことができた。これは皆、あの寮で過ごした3年間のお陰だろう。

今でも、酷く衛生環境の悪い国々を旅行して来た人たちの話を聞くと、ちょっと気が遠くなったりするものの、寮の3年間を思えば、多少の不潔さはやり過ごせるばかりでなく、それに敵う免疫力も得られていたような気がする。