メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イスタンブールで再選挙?

トルコの地方選挙、CHPのエクレム・イマムオール氏が僅差で制したイスタンブールの結果を巡って、AKPが一部集計の見直しを選管に要求するなどして、すったもんだが続いていたようだけれど、再集計によってもイマムオール氏の得票が上回り、当選が確定したという。

 政権寄りのメディアは、まだ不正云々を取り沙汰しているものの、エルドアン大統領は、「選挙の議論は終わった。今は熱した鉄を冷ます時である。・・・」などと呼び掛け、敗北を認めて終結を宣言したかのように見える。

 一方、AKPと連合を組んでいたMHPのバフチェリ党首は、「イスタンブールは6月に再選挙を行うべきである」と主張していたが、エルドアン大統領の終結宣言にどのような反応を見せたのか気になるところだ。

 AKPとMHPは、昨年の10月頃、クルド民族の扱いにも関わる問題等でやり合い、バフチェリ党首は地方選挙における連合の解消を示唆していた。 

しかし、それからいくらも経たない内に、バフチェリ党首は“国難”を理由に再び連合を約束している。果たして、その間にエルドアン大統領とバフチェリ党首は、どのような話し合いを行っていたのだろう?

 リベラルな識者の中には、2016年7月の“クーデター事件”以降、エルドアン大統領は老獪なバフチェリ党首に巧く取り込まれ、民主化路線を離れて、国家主義者になってしまったかのようだと論じていた人もいる。

 ひょっとすると、バフチェリ党首は地方選挙での連合を有利に組むため、わざと齟齬を生じさせていたのかもしれない。

 何の根拠もないのに勝手なことを言ってはいけないが、実際、今回の地方選挙で最も得をしたのはMHPだったのではないかという指摘もある。

 勝手ついでにもう一つ勘ぐってみれば、転んでも只では起きないエルドアン大統領も、選挙後、再集計や不正云々に言及しながら、再選挙の要求があり得るような姿勢を見せ、バフチェリ党首の発言を引き出してから、終結宣言ではしごを外してしまった・・・。帰国以来、現地での見聞も叶わず、情報量が少ないものだから、どうも勝手に考え過ぎてしまうけれど・・・。

 毎年、この時期になると、1915年の4~5月、オスマン帝国アルメニア人が強制移住させられ、途上で多くの人たちが死亡してしまった事件が取り上げられる。

 2014年4月23日、アルメニア問題の解決に意欲を見せていたエルドアン首相(当時)は、トルコの首脳として初めて、この事件に対して“哀悼の意”を表明して話題になっていた。

 あの時は、3月に地方選挙が済んで、暫く選挙のない状況だったため、エルドアン首相も躊躇うことなく“哀悼の意”を表明できたような気もする。

 今年も「6月、イスタンブールで再選挙」などという事態が避けられれば、エルドアン大統領は何か思い切った表明を試みるかもしれない・・・・。