メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

パンにシュクル(感謝)!

今日(7月1日)の昼は、尾之間の辺りまで散歩に行き、途中、「パン・ド・シュクル」というパン屋さんで、菓子パンを買って食べた。
クランベーリーとクリームチーズの入ったパン、それからカスタードクリーム入りのデニッシュが非常に美味かった。
東京は足立区出身の御主人が焼いているそうだが、屋久島で最も美味しいパン屋さんの一つではないかと思う。
トルコ語で「シュクル」は、アラビア語起源の「感謝」を意味する言葉だから、ちょっと気になって、どういう意味なのか訊いたら、フランス語の「砂糖」であるという。
「砂糖」なら、英語の「シュガー」はもちろん、トルコ語の「シェケル(砂糖)」とも音が良く似ている。ひょっとすると、語源は皆同じかもしれない。
トルコは、先日、ラマダンの祝祭を終えたばかりだが、一昨年だったか、何故、この祝祭が「砂糖祭(シェケル・バイラム)」と呼ばれたりするのか話題になっていた。
ある識者によれば、かつては「シュクル・バイラム(感謝祭)」と呼ばれていたものの、アラビア文字で記した場合、「シェケル(砂糖)」も「シュクル(感謝)」も同じ字形になるため、誤って「シェケル(砂糖)」と読んだのが定着してしまったらしい。
アラビア語起源の単語は、「キタップ(本)」~「キャーティップ(秘書)」といった風に、子音で構成される語幹に異なる母音が付いて、様々な意味が派生して行くそうである。
それで、「シェケル(砂糖)」と「シュクル(感謝)」が同じ語幹から派生した言葉だったら面白いと思って、ちょっと調べてみたところ、「シュクル(感謝)」はアラビア語起源でも、「シェケル(砂糖)」はペルシャ語起源の言葉であることが解った。
インド・アーリア語族のペルシャ語には、同じ語族のフランス語や英語と語源を同じくする言葉が多いという。例えば、ペルシャ語の否定「ナ」と英語の「ノー」も、おそらく語源は同じだろう。
一方、トルコとペルシャは歴史的な繋がりが深いので、ペルシャ語とは異なる語族に属するトルコ語にも、相当数のペルシャ語起源の単語が入ってきている。どうやら、「シェケル(砂糖)」もその一つであり、アラビア語起源の「シュクル(感謝)」とは関連がなかったようだ。
しかし、糖質制限の合間に美味しいパンを食べたら、心から「パンにシュクル(感謝)!」と叫びたくなった。