メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

政治は変わる・パイプラインは残る

昨日、第23回世界エネルギー会議への参席も兼ねて、プーチン大統領は、予定通りイスタンブールを訪れた。
エルドアン大統領との首脳会談、そして、両国が天然ガス・パイプラインのプロジェクトで合意したことは、日本でも報道されているのではないかと思う。
新しいパイプラインは、ロシアから黒海を渡って、トラキア地方(トルコのヨーロッパ側地域)に至るそうだ。
ヒュリエト紙のコラムでムラット・イエトゥキン氏は、これまで露土間に敷設された2本のパイプラインも例に上げて、お互いの利益に関わる問題になれば、以前の言動や政治が一変してしまう有様を明らかにしながら、記事の表題を「政治は変わる、パイプラインは残る」と銘打っていた。
最初のパイプラインは、1984年、オザル政権の時代に、当時のソビエト連邦政府と合意して敷設が進められたというから、確かに、政治は変わっても、パイプラインが残ったのは実証済みである。
しかし、その利益に関わる政治的な駆け引きを、アメリカ、ロシアといった大国は、常に武力を背景に進めて来たばかりか、時として実際の武力行使も躊躇っていない。
歴史上、政治の手法や政治体制は、革命などを経て、何度も変わってきたが、暴力に依存する人間の性質は全く変わらなかったようである。
警察の武力が、暴力団より弱かったら、誰も警察を信頼しないだろう。そうなったら、人々は揉め事の解決を全て暴力団へ委ねてしまうに違いない。いろいろな綺麗ごとを並べながら、結局私たち人間は、暴力に依存して生きて来たんじゃないかと思う。