メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

極東と中東

中東の危機は言うまでもないが、極東の雲行きもなかなか危ういらしい。北朝鮮の状況は、いつ急激な展開があってもおかしくないと伝えられている。

エーゲ海で遭難するシリア難民のように大きなニュースにならないだけで、中朝国境の鴨緑江を渡ろうとして命を落とす北朝鮮の人民は相当な数に及ぶという。

アラブの春」によって政情が不安定化する以前、シリアには圧政と自由の制限があったかもしれないけれど、少なくとも飢餓に陥るような状態ではなかったはずだ。

ところが北朝鮮の農民にとっては、毎年訪れる極寒の冬も重大な危機であり、これを乗り越えて「春」を迎えられるだけでも有難かったそうである。

しかし、人々がこの悲惨な現実から抜け出せるかどうか、鍵を握っているのは中国やアメリカであって、彼らはどうすることもできない。

今のところ実現の可能性は殆どないが、北朝鮮の民衆を救う最善の解決は、韓国による併合統一だろう。心から北朝鮮の行く末を案じて、その窮状に最も悲しんでいるのは、同胞である韓国の人たちをおいて他にないと思う。

また、北朝鮮の体制が暴発した場合、真っ先に被害を受けるのも韓国の人たちである。それなのに、現状、中国やアメリカの顔色を窺うより打つ手もないらしい。なんという悲劇なのかとため息が出てしまう。

中東の情勢もこれに良く似ている。鍵を握っているのは、ロシアやアメリカであって、地域の民衆ではない。そして、中東で上記の韓国と同じような立場に置かれているのが、トルコではないかと思う。

最も誠意のある解決策を示せるのもトルコであり、トルコの人たちは、オスマン帝国ムスリム同胞だった地域の民衆に対して、偽善ではない、かなり真摯な気持ちを懐いているだろう。実際、多くの難民を受け入れてきた。その中にはアラブ人もいれば、クルド人も少なくない。皆ムスリム同胞なのである。

しかし、中東でも、トルコの打つ手は限られていて、この悲劇はいつ終わるともなく未だ続いてしまうかもしれない。