メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アルジャジーラが取材した「イラン革命」

先日、“YouTube”の“おすすめ”に出ていた以下の動画を観た。

İran: Bir Devrimin Anatomisi - Al Jazeera Türk Belgesel

3年ほど前に、アルジャジーラ・トルコが放送したと思われるドキュメンタリー番組で、1979年の「イラン革命」とその背景に迫っている。
当時を知る人物へのインタビューや、記録映像によって構成されており、戦後間もない頃に、アバダンの採油施設で働いていたというイラン人の証言が印象的だった。
採油権は英国の企業が握っていたため、採油場で働くイラン人と英国人の間には、甚だしい待遇の違いがあったらしい。
アバダンの街へ買い物に行こうとしても、英国人専用のバスには乗れないので、炎天下に30分以上、イラン人用のバスを待たなければならなかったという。
アバダンの街には、英国人専用のクラブがあり、その入り口に「イラン人と犬はお断り」と記されていたそうだ。
もちろん、これはカタールに本拠地を置くアルジャジーラ放送の取材による番組だが、トルコで知り合ったイランの人たちからも、同様に、米英やパーレビ体制への怨嗟の声を聞いたことがある。
彼らの多くは、ホメイニの体制を全く支持していなかったけれど、パーレビと結託していた欧米がホメイニを非難するのは、もっと許し難いと感じていたようである。
現在、このイランに対して、アメリカは着々と包囲網を固めようとしているのではないかと言われている。
イランに友好的な態度を見せているカタールへ、サウジアラビア等のアラブ諸国が国交断絶の処置を取った背景にはアメリカの思惑が絡んでいるという説もある。
そのため、表向き、サウジアラビアカタールの仲介役を買って出ようとしているアメリカの動きには、「充分な警戒が必要である」とトルコの多くの識者が指摘している。
ヒュリエト紙のムラット・イェトゥキン氏は、トルコがシリアの問題で苦労した教訓を忘れてはならないとして、「ミルクで口を焼いた者はヨーグルトを吹いて食べる(羹に懲りて膾を吹く)」という諺を持ち出しながら、カタールの問題に深入りすべきではないと論じていた。
しかし、中東の混乱はいったいいつまで続くのだろう。やはり安価な石油が出る限り、中東の人々は枕を高くして寝られないのだろうか?
イスラムとテロ」に纏わる討論番組だったと思うが、出演していたトルコの識者は、「サウジアラビア民主化できれば良いが、そうなると当然、原油価格は高騰するから、アメリカが許すわけがない・・・」と語りながら苦笑いしていた。
中東の国々が、産業を発展させて自立するためには、まず政教分離を実現させて民主化を図らなければならないものの、アメリカは必ずそれを妨害しようとするのではないかと言うのである。
まあ、日本も安価な石油のお陰で助かっているから、あまり他所のことは咎められないけれど・・・。

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