メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

中華料理の思い出に乾杯!

昨日、市内のショッピングモールにあるフードコートで、久しぶりに中華バイキングを食べた。5~6年ぶりだったと思う。
風邪が治らず調子が悪かった所為か、少し濃い味付けのものが食べたくなっていた。
食べ放題のバイキングが23リラ。今、イスタンブールで外食すれば大概このぐらい取られるから、相対的に大分安くなったように感じた。
相変わらず「安かろう悪かろう」で、店の雰囲気も5~6年前のままだけれど、すっかり庶民の味として定着しているのかもしれない。
スープと3~4品食べて、『まあ、こんなもんか』と諦めながら、昨年の夏、ソウルで御馳走になった中華を懐かしく思い出していた。
在韓華僑の友人明仁が、最後の晩に連れて行ってくれたのは、ヨンチョン(霊泉)市場近くの路地裏にある小さなうらぶれた中華料理屋だが、一風変わった店主の人柄と、その店主が作る料理は絶品だった。
明仁は、息子が通う中華学校の父兄という縁で、店主のおじさんと知り合ったらしい。晩飯時というのに、照明を半分落とした薄暗い店内に入ると、おじさんは奥のテーブルで所在無げにパソコンの画面を見ていた。もちろん客は一人もいなかった。
この店は、麺類を一切扱っていない。何故かと言えば、麺類を食べるお客がたくさん来ると、本格的な料理を作る楽しみが奪われるからだそうである。
現状、特に金を稼ぐ必要もないため、美味しい料理を作って、自分もお客も満足したらそれで充分というのが、おじさんの哲学らしい。ここまでの話だけでも凄いけれど、おじさんの作る料理はどれも本当に美味しくて、その哲学の奥深さを感じてしまう。
美味しい料理を食べ、高粱酒を飲みながら話が弾むと、途中で何度も乾杯した。中国式の文字通りの「乾杯」だったから、旅館へ帰り着く頃には酔いが回って千鳥足になっていた。
翌朝、へろへろの状態でインチョン空港へ向かい、なんとか搭乗手続きを済ませて、待合ロビーで待っている時も、体中から高粱酒の強い香気が、なんとも言えない満足感と共に未だ発散されているのではないかと思った。