メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

大韓ビデオ

一昨日は、上本町(谷町)の駅を出ると先ず日本橋まで歩いて、それから島之内へ向かった。

22~3年前、大阪の茨木に住んでいた頃、毎週のように島之内の韓国街へ出かけて、韓国ドラマのビデオを借りて来たけれど、茨木から阪急と地下鉄堺筋線を使って行くので、日本橋の駅から歩くのが常だった。今回も記憶を確かめながら全く同じルートを辿ることにした。

ビデオを借りていた「大韓ビデオ」は、まさかもう無くなっていると思っていたが、『あの辺りはどうなっているだろう?』と確かめるつもりでいたのである。

途中、在韓華僑の経営していた「韓国式中華料理屋」があった所の前を通ると、やはり新しいビルになっていて、『果たして本当にここだったのか?』と考えたりした。ビデオを借りた帰りにそこで何度かチャジャンミョンやメウンチャンポンといった韓国式中華を食べた。

スウォン(水原)出身という在韓華僑の店主に、スウォンに近いヨギン(龍仁)出身の在韓華僑だった友人を知っているかどうか尋ねたら「同じ中華学校に通っていた」と言われて驚いた。友人は、当時、米国で暮らしていたが、その4~5年後に亡くなった。

その中華料理屋のあった辺りを過ぎて、特に当てもなく前方を見ていたら、なんと「大韓ビデオ」の看板が出ている。そこからは、驚きと喜びで思わず小走りに走ってしまった。朝10時頃だったから、まだシャッターが下りていたけれど、今でも営業しているような雰囲気である。少し先の韓国料理屋の前で掃除をしていた青年に、「すみません。そこのビデオ屋さんは今日休みですか?」と訊いたところ、青年は店の中へ入って、韓国語で問いを繰り返した。それで私も店の中にいた店主と思しき中年女性に、韓国語で事情を説明した。考えて見ると、22~3年前、この界隈では何処の店に入っても当たり前に韓国語で通していた。そもそもビデオを借りに来たのは忘れかけていた韓国語を思い出すためだから、機会があれば韓国語を話そうとしていたのだ。

「暫くしたら開店する」という話だったので、西成まで歩いてから帰りにまた寄った。シャッターが開いた店の外見は、ポスターのタレントたちが様変わりしているだけで殆ど変わっていないように思えたものの、内部の様子には大きな変化があった。まず、ビデオが無くなっている。以前は棚に並べられているビデオを自分で取り出すようになっていたが、今はリストから選んだドラマをCDで貸してくれるらしい。

店にいた韓国人女性は、私と同年配かもう少し若かったかもしれない。私の下手な韓国語に最後まで韓国語で答えてくれた。22~3年前の当時、店を見ていたのは彼女のお母さんであると言う。80歳でご健在だそうである。

一昨日という日は、このためにあったような気がする。島之内まで行って本当に良かった。

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