メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

中国酒の思い出話

イスタンブールの大きなスーパーに行けば、ラクやワインに限らず、色々なウイスキーやブランデーの銘柄、ラム酒テキーラ等々、大概の酒は手に入ると思います。

入手が難しいのは、残念ながら清酒紹興酒といった東洋の酒でしょうか。私は紹興酒も大好きだから、とても悲しいです。

中国の酒は、1981~2年、飯田橋は五軒町辺りの安アパートで一人暮らししていた頃、江戸川橋駅近くにあった“中華風居酒屋”で色々試しながら飲んで、その味を覚えました。

当時は、新宿区内の運送屋で働いていて、安アパートから車庫まで自転車通勤、仕事帰りに自転車で、その“中華風居酒屋”に寄っては一杯やっていたのです。

さて、ある晩、また中国酒をしたたか飲んで帰り、翌朝、安アパートで目を覚ましたら、これが遅刻寸前の時間で、慌てて飛び起きて外に出ると、先ず自転車を探したのですが、そこで目にした物は、前輪が外れ、胴体部も無残にひん曲がった自転車の残骸でした。

一瞬の何のことだか解らず、漫画の吹き出しに「?」マークが四つぐらい並んだような状態で、ポカンと2秒ぐらい固まっていたように思います。

とにかく、自転車は使えないと解り、他のことは何も考えないまま、表通りまで走り、タクシーを止めて乗り込んで、行き先を告げたところ、「お客さん、何があったんですか?」と運転手さん、それから「顔中、傷だらけですよ」と言って、バックミラーをこちらの方へ向けてくれました。

そのバックミラーを覗き込んだら、なるほど顔中に擦り傷があり、気がついたら、肘や膝も何処かにぶつけたようで少々傷みます。『えっ? 何があったんだ?』と、前の晩のことを思い出そうとしたけれど、はっきり覚えていたのは、“中華風居酒屋”で飲んでいるところまでで、後は薄っすらと自転車を担いで歩いていたような記憶がチラついているだけでした。

でも、あの年齢だと回復も早く、朝、2t車を積み込んで一汗かいたら、それでもうケロッとしてしまい、一日快調に働いてから、また何食わぬ顔で“中華風居酒屋”に寄って一杯やりながら、30歳ぐらいの店主に、「昨日は、飲んでいて様子が変じゃありませんでしたか?」と訊いてみたところ、「うーん、ちょっといつもより多かったみたいだね。それで、“もう一杯”て言うから、“もうよしなよ”って言ったら、素直に応じて帰ったよ」と教えてくれたものの、さすがに、その後、自転車に乗った様子までは見ていなかったそうです。

結局、いくら考えても何一つ思い出せなかったけれど、おそらく、何かの拍子で自転車の前輪が外れた為に転倒してしまったのでしょう。まあ、大事に至らず、つまらない思い出話が増えただけで良かったかもしれません。