メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの若者恋愛事情

私は昨晩、シングル15YTL(1200円ぐらい)という格安ホテルで一泊する羽目に陥りました。さすがに、こんな宿で泊まるくらいだったら、私の寝室兼書斎の方がよっぽどましでしょう。

さて、何故そんな事態になったかと言えば、これは一昨日のことなんですが、同居しているトルコ人青年のひとりが私の部屋にのっそりと入って来て、言い難そうな様子で「ちょっとお願いがある」と切り出します。

何事かと思っていると、「明日の晩なんですが、僕の彼女がここへ来るんですよね」なんて言い出したので、もうこれだけで何をお願いされるのか解った私は、話を続けようとする彼を制して、「解ったよ、要するに出て行ってくれと、そういうことでしょ。今日は朝から風邪で寝込んでいたんだよね。そんな病人に、明日の晩、何処かへ行ってくれと、そういうことですか?」。

「まあ、もう少し僕の話を聞いて下さい。明日、相棒は夜勤でいないから良いけど、君がこの部屋にいて、僕と彼女が隣の部屋にいるというのは、やはり拙いでしょう?」。
「だから出て行ってくれと」。
「ええ、何処か近くのホテルにでも泊まってもらえれば有難いんだけれど、ちゃんとホテル代は出しますから」。
「ホテル? 五つ星じゃないと嫌だよ。150ドルぐらいはするだろうね」。
すると、これで彼はもう了解を得たと思ったらしく、笑いながら感謝します。

私も、そういうまたとない機会を得た26歳の健康な青年に、それを諦めろと言うつもりは毛頭ありませんでした。

つまり、宿泊先で身分証明書の提示を求められるトルコでは、未婚のカップルが同じ部屋に泊まろうとしても、これがなかなか認められないという話。

リゾート地のホテルなら問題にならないようですが、イスタンブール市内の場合、かなり高級なホテルにならないと認めてもらえません。

トルコの恋する若者たちはなかなか苦労しています。しかし、ある程度信仰の有る者たちなら、神の許しを得ないまま婚前交渉に及ぶことはないだろうから、苦労する連中も限られているのでしょう。

我が家の同居人ふたりの信仰心がどの程度のものか良く解りませんが、四ヶ月にわたって一つ屋根の下で暮らしながら、彼らが礼拝している姿は未だかつて一度も見かけたことがありません。酒はよく飲んでいるし、ラマダンの断食もしていませんでした。