メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの地方行政府

日本では、リニア新幹線のトンネルの工事が静岡県の許可を得られないために止まっているけれど、トルコの各地方行政府にも同様の権限はあるのだろうか?

調べてみないと解らないが、トルコの地方行政府では、民選の知事・市長と共に「ヴァーリ(Vali)」という官選の知事が行政を担っているので、国の事業を差し止めることなど出来ないような気がする。

警察等はヴァーリの支配下にあり、民選の知事・市長の権限はそれほど大きなものではない。これでは「地方自治」と言えないかもしれないが、南東部には公然と分離独立を主張する民選の知事もいるため、なかなか難しい問題ではないかと思う。

そもそも、南東部では、多くの民選の知事がテロ組織に加担した嫌疑により解任され、国から任命された「カユム(Kayyum)」と呼ばれる行政官が知事職を代行していた。要するに、「ヴァーリ(Vali)」と「カユム(Kayyum)」により、地方自治は完全に停止した状態だった。

今回当選した各知事にも今後の動きによっては同様に解任されるリスクがある。果たしてどうなるだろう?

これぐらいだから、「発展の道」といった国家プロジェクトに支障をきたす可能性は殆どないと言えそうである。

しかも、「発展の道」のトルコ側の起点となるシュルナク県では、与党AKPの知事が当選している。シュルナク県で進められている石油採掘事業にも問題は生じないだろう。

AKPは南東部でかなり健闘していた。分離独立に反対するクルド人の票が相当数AKPに流れたと思われる。こちらでは、「国土の不可分の統一」が西部の大都市より、一層意識されていたのかもしれない。

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