日本のメディアでもガザの問題は大きく取りあげられている。
しかし、相互に異なる主張もあったりして、実際に何が起こっているのか良く解らない。双方に民間人を含む相当数の死者が出ているのは間違いないらしい。
欲望を制御できない人の世の悲惨さは昔から変わっていないのかもしれないが、最近はそれが異常なレベルに達しているように思われてならない。
現在、地球上で戦争状態に陥っている地域は、ガザに限らないはずである。ウクライナでも戦闘が続いているのではないだろうか?
ところが、こちらの状況は殆ど伝えられていない。大掛かりな情報操作でも行われているのではないかと疑心暗鬼になってしまいそうだ。
これはトルコの報道を見ても余り変わらない。イスラエルとパレスチナから伝えられる情報ばかりが目立ち、ウクライナとアルメニアの問題は何処かへ行ってしまったかのようである。
その中で興味深く思えたのは、アゼルバイジャンがイスラエルを支持しているという指摘である。これはイランが「共通の敵」になっているためらしい。
イランによるハマスへの支援も取り沙汰されているが、イラン政府はこれを否定している。いずれにせよ、イスラムとユダヤであるとか、スンニー派・シーア派といった問題ではないようだ。
そのイランの状況だが、以下のYouTubeのチャンネルで定期的にアップされている動画が興味深い。
イラン政府が「道徳警察」を復活させて風紀の取り締まりに乗り出したと報じられていたけれど、動画を見ると、スカーフなど被っていない女性の姿も結構目立っている。
そのファッションもトルコや西欧で見られるものと殆ど変わらない。ショッピングモールの各店頭に並べられているファッションも同様である。イランもすっかり西欧化されてしまったらしい。
現代の社会を宗教で統治しようとするのは、イランでも全く通用しなくなっているのだろう。
こうして、宗教・宗派によるタガが外れてしまうと、イランの人口の30%近くを占めるというアゼルバイジャン系イラン国民の動向が気になってくる。彼らの中に、アゼルバイジャンやトルコに親近感を持つ人はかなり増えているかもしれない。
イラン政府にとっては由々しき問題であり、これがイランとアゼルバイジャンの対立の根底にあるという。
トルコでは、逆に「イスラム化」が問題になっているけれど、これは結局のところイランの「宗教離れ」と同じ問題じゃないかと思う。
産業化とそれに伴う都市化が進み、教育水準も著しく向上したトルコで、以前は「脱宗教的な政教分離」を国民に押し付けようとしていた国家が、今や多様化した国民の要望を聞かなければならない立場になってしまった。
その中にはイスラムの信仰に関わる要求もあるが、それは「イスラム主義」などいった過激なものではなく、保守的な伝統によるものだろう。しかし、これも行き過ぎれば、また逆の要求も見えて来るのではないかと思う。
おそらく、イランでは宗教を押し付けてきた国家に対して、国民が世俗的な要求を突きつけ始めているのではないだろうか。そして、国家はその要望を既に無視できなくなっている。そんな風に思われてならない。