一昨日、運転免許の更新を済ませた帰りに寄った明石城は、暑さの所為か人影も疎らで長閑な静けさに包まれていた。しばらくの間、明石の街並みやその向こうに見える海をぼんやり眺めていると、なんだかとても平和な気分に満たされた。
もちろん、世界の何処でもこうして平和な気分に浸れるわけじゃない。ひと頃に比べて報道の量は減ったものの、相変わらずウクライナからは悲惨な戦場のニュースが伝えられている。
いったいあの戦争はいつまで続くのだろう? 欧米では「数年続く可能性」も取り沙汰されているらしい。ウクライナ側は領土の割譲に応じない姿勢を見せて、占領された地域からロシア軍を撤退させるまで戦うと主張しているそうだ。
しかし、現在のウクライナの領土はソビエト時代に確定したものではなかったのか? クリミヤ半島はフルシチョフの主導で、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国からウクライナ・ソビエト社会主義共和国へ編入されたという。ガリツィア地方も一時期ポーランド領だったのが、ソビエトによってポーランドから引き離され、ウクライナに加えられている。こうして見ると、ウクライナがその領土を死守しなければならない理由は何処にあるのか良く解らない。
いつだったか、司馬遼太郎がベトナム戦争の悲劇について語った一文を読んだ覚えがある。
通常、戦争は、一方の武器弾薬が尽きた時点で戦闘続行不可能となり、終結を迎えるはずなのに、ベトナムでは、それが背後から供給され続けたため、戦争を止めることも出来なかった・・・。というように語られていたと記憶している。
現在のウクライナの状況も、このベトナムの悲劇と変わらないのでないかと思う。欧米が武器の援助を続ける限り、ウクライナは戦争を止めることもできない。これでは自国の意志で戦っているのか、他国の意向で戦わされているのか、はっきりしなくなってしまうかもしれない。
ウクライナの穀物を安全に輸出させる問題については、トルコのアカル国防相がウクライナの国防相と協議したことがトルコのメディアでは報じられていた。
その後の進展がどうなっているのか解らないが、トルコ側は穀物輸出の問題ばかりでなく、停戦協議の再開も諦めずに外交努力を続けているに違いない。その努力がいち早く結実するよう切に願っている。