メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

トルコの新しい世代

トルコの一般市民の間でも「ユーチューバー」は増えているらしい。

先日、そういったユーチューバーによる以下のYouTube動画を視聴して、なかなか興味深いものを感じた。

ユーチューバーの若い女性が、婚約者であるイラン人の青年とその母親、そして自分の家族を伴って、イスタンブールはイスティックラル通りの近くにあるイラン料理の店に行って夕食を楽しんでいる。

この女性はスカーフを被っていないものの、母親と姉はしっかり被っていて、結構保守的な家族であることがうかがえる。

一方、婚約者のイラン人青年の母親は何も被っておらず、至ってモダンな雰囲気である。青年は流暢なトルコ語を話しているから、おそらくトルコで生活していて、彼女ともトルコで知り合ったのではないかと思う。

母親が彼女の家族と会うためにトルコを訪れていたのか、もともとトルコに住んでいるのか、その辺は良く解らない。トルコ語は巧く話せないようだが、聞き取りは出来ているみたいなので、ひょっとするとアゼリー系のイラン人であるかもしれない。

トルコでは、もう随分前から、保守的な家族の娘と政教分離主義的な家族の青年が結婚したりするのは珍しいことじゃなくなっている。そのため、「保守的な家族」であるとか「政教分離主義的な家族」といった区分けは余り意味を成さなくなってきた。

彼女と婚約者は、さらにもう一つの垣根も取り払って行く過程にいるのだろうか?

シーア派とかスンニー派とか、もう誰も気にしていないかもしれない。少なくとも、彼女たちがそれを問題にしている様子はまったく見られない。

以下の動画では、やはりイスティックラル通りの近くにあるリモンルというカフェへ婚約者と出かけているけれど、このリモンルはとても解り難い場所にあって、かつてはちょっとした隠れ家的な雰囲気もあり、客層も殆ど政教分離主義的でモダンな若者たちに限られていたのではないか。

ところが、動画を見ると、スカーフをしっかり被った女性の姿も見られたりする。こういう区分けも、もう意味を成していないのだろう。そして、区分けを規定していたイデオロギーも・・・。

この世俗的で現実的な若い世代がトルコの発展を支えて行くことになるのだと思う。