メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

民族と国家:イスラム史の視角から

 

1991年に初めてトルコへ渡航する前、東京都内でトルコ語の講座に通ったことはあるものの、それ以外にトルコの歴史や宗教について特に学んだりしたわけではない。

そういった分野の知識は、その殆どが渡航後にトルコ語の新聞等を読みながら得た雑学で成り立っているに過ぎない。

それよりも、トルコの街角で実際に見聞した事実を伝えなければと思って来たけれど、帰国した今となってはこれもままならなくなってしまった。今後はせいぜい国際色豊かな三ノ宮の近辺や関西の各地へ足を延ばして、異なる見聞を得なければと思う。

もちろん、トルコ滞在中に読もうと思っても手に入らなかった日本語の書籍も時間があれば読んでみたい。例えば、20年以上前にこの「民族と国家」を読んでいなければ、その後、トルコの人たちから聞いた話の背景などを良く理解できなかったに違いない。

渡航前に歴史や文化についてもっと勉強していたら、実際の見聞と照らし合わせて、より深い理解が得られただろう。街をほっつき歩いて漠然と見たり聞いたりするのでは、それだけで終わってしまう。

「民族と国家」は、これからトルコへ渡ってみようという人に限らず、トルコに興味を持って何か調べてみたいという人にも是非お勧めしたい。専門的な内容であるにもかかわらず、読み易い巧みな記述に引き込まれて、浅学の私でも一気に読み進めることができた。