朝、三ノ宮へ向かう電車の窓から外の景色を眺めていると、須磨の辺りで朝焼けの海の美しさにイスタンブールを思い出したりする。
沖合いに多数の船舶が停泊している模様がイスタンブールのマルマラ海を想起させているのかもしれない。マルマラ海の沖合には、港湾の荷下ろしやボスポラス海峡の通行を待つ船舶がいつも多数停泊していたからだ。
「イスタンブールには美しい都市にあるべき全てのものがある」と常々語っていたマリアさんは、パリにもローマにも海がないことを難じていた。
パリやローマばかりでなく、ロンドンもハンブルクもモスクワも北京も西安も海には面していない。中国の都を模倣した京都や奈良、韓国のソウルも同様である。
海に面しているのは、神戸のような港湾都市、あるいはサンクトペテルブルクやニューヨーク、上海、東京のように比較的新しい都市に限られているのではないかと思う。何故だろうか?
5世紀には東ローマの帝都となっていたコンスタンティノープルは、非常に珍しい例であるかもしれない。