メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

日本語も学んだチャヴシュオウル外相

AKP政権の閣僚リストに記されている略歴を見ると、出身大学や前職の他、語学力なども明らかになっている。しかし、語学力についての記述は、必須の項目になっているわけでもないようだ。

例えば、流暢な英語を話すダヴトオウル首相の語学力には全く触れていない。周知の事実だから、わざわざ記す必要もないということだろうか? 

ダヴトオウル首相以外の26人の閣僚中、語学力についての記述がないのは、スレイマン・ソイル労働社会保障相、ファルク・チェリク農業畜産相、ビュレント・テュフェンクチ関税商務相、エフカン・アラ内務相、ナジ・アーバル財務相の5名だけである。

しかし、イギリスの大学で“MBA”を取っているアーバル財務相は、当然英語に堪能だろう。

他の閣僚らの語学力は、「良い」とか「非常に良い」とか、そのレベルまでいちいち明らかにされたりしている。

英語力で「非常に良いレベル」という評価を受けていたのは、以下の8名である。


メフメット・シムシェク副首相

リュトゥフィ・エルヴァン副首相

ヴォルカン・ボズクルEU担当相/フランス語も・・・

ファトマ・ギュルデメト・サル環境都市計画相(女性)

アキフ・チャータイ・クルチ青年スポーツ相/ドイツ語も・・・

ジェヴデット・ユルマズ開発相

ビナリ・ユルドゥルム運輸海事通信相/中レベルのフランス語も・・・


フランス語やドイツ語も話せたりして、日本の内閣ではとても考えられない。これだけでも羨ましい限りだが、以下の7名も2つ以上の外国語を話すという。


ベキル・ボズダー法務相/中レベルの英語とアラビア語

セマ・ラマザンオウル家族社会政策相(女性)/良いレベルのドイツ語と英語

フィクリ・ウシュク科学産業技術相/良いレベルの英語と中レベルのアラビア語

メヴリュト・チャヴシュオウル外相/英語とドイツ語、そして日本語!!

ヒル・ユナル文化観光相/アラビア語と英語

ナビ・アヴジュ教育相/良いレベルの英語と中レベルのドイツ語

メフメット・ミュエッズィンオウル厚生相/中レベルの英語とアラビア語、そしてギリシャ語!


アラビア語を話すという4名の閣僚は、出身地を見る限り、もともとアラビア語母語としていたわけでもなく、宗教教育の過程で習得したのではないかと思われる。

しかし、トルコには母語としてアラビア語を話す人もいるのだから、そのアラビア語を評価するのであれば、シムシェク副首相の母語であるクルド語も評価して良かったのではないかと思う。

さて、驚いたのは、メヴリュト・チャヴシュオウル外相の「日本語」である。

“MedyaPolisi”というネットの記事によれば、チャヴシュオウル外相は、子供の頃、父親が見つけて来た日本人の家庭教師から日本語を教わったそうだ。

1980~85年頃の話じゃないかと思うが、当時、日本人の家庭教師をどうやって探したのだろう? とても情熱的で面白いお父さんのようである。

それから、ミュエッズィンオウル厚生相の「ギリシャ語」に纏わる物語も凄い。

ミュエッズィンオウル厚生相は、1955年に、ギリシャ国籍のトルコ人としてギリシャで生まれ、高校時代からトルコに留学して、イスタンブール大学の医学部を卒業すると、一旦、ギリシャへ“帰国”したものの、ギリシャでは医師の資格が得られなかったため、1983年、国境のメリチ川を渡ってトルコへ亡命したという。

この話には、なかなかロマンを感じてしまった。