メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

イラクの混乱

イラクのモスルにあるトルコの総領事館が、武装勢力の襲撃を受け、領事らが人質に取られた事件は、日本でも大きく報道されたようである。

昨晩は、インターネットで視聴できるニュース・チャンネル(A Haber-政権寄り)が特番を組んでいたので、他のネットの記事も読んだりしながら、所々耳を傾けていた。

サヴジュ・サヤンという人が話している。肩書きを見ると、元CHP党員となっているが、今はAKPを支持しているのではないかと思う。モスルからトルコへ移住してきた家族の子弟らしい。

イラク軍が殆ど抵抗を見せずにモスルを放棄し、武装勢力へ受け渡してしまったのは、どう見ても不自然だと言う。そして、これは、石油利権をめぐって協力関係にあるトルコと北イラククルド自治区を窮地に立たせようとするイラク政府の戦略ではないかと解説していた。

同様の意見を述べる識者は他にもいた。曰く、イラク政府の後ろには英米がいるため、イラク政府はこれに同調せざるを得ない、しかし、これによって彼らも窮地に陥るだろう・・・トルコは軍事介入したりして、この罠に嵌ってはならない・・・等々。

真相はどうなのか解らないが、トルコ政府も軍事介入は避けようとしているようだ。これまでも、シリアの問題などで、様々な挑発を受けてきたけれど、軍事介入だけは回避してきた。

10年前のイラク戦争も、トルコでは「石油利権をめぐる攻防」と考えている識者が多い。

開戦前の2003年1月、退役海軍中将アッティラ・クヤット氏は、ラディカル紙のインタビューに答えて、次のように明らかにしていた。

「・・・・この戦争の原因はサダムでもなければ、化学兵器核兵器でもない・・・・これは、アメリカ国民の繁栄と安全が二度と脅かされることのないよう、中東から極東にかけての地図を書きかえるための戦争である。・・・・中東は、アメリカの国民が繁栄するために必要な石油があるばかりでなく、彼らの安全を脅かすイスラム原理主義テロリストの温床となっている・・・・」

このインタビューの中で、クヤット氏が語っていた「トルコも参戦せざるを得ない」とか「北イラククルド人の国家が出来る可能性はない」といった予測は、ものの見事に外れているけれど、その他の事柄は、大筋でそれほど間違っていなかったかもしれない。

そして、トルコは参戦しなかったにも拘わらず、北イラクに出来たクルド自治区と協力関係を築き、今のところ、まんまと“漁夫の利”を得ているようにも見える。さて、これからいったいどうなるのだろうか?