シリアが危機的な状況を迎えているようだ。化学兵器による惨状が映像として伝えられているけれど、あれは本当にアサド体制側が使ったものなんだろうか? 映像には説得力があるだけに、却って気をつけなければならないかもしれない。情報戦の中で巧く利用されている可能性もある。
しかし、恐怖で人々を締め付ける専制国家は、もう命脈を保てないのではないかと思う。サダムが去り、カダフィが去り、エジプトは少し逆行したようだけど、民主化へ向かう大きな流れは変わらない、現在の混乱は生みの苦しみであると信じたい。
アメリカでは、国民の6割が軍事介入に反対しているそうだ。やはり、まだしも健全な社会であるような気がする。ロシアや中国で、こうは行かないに違いない。
まあ、トルコの立場としては、アメリカが大規模な軍事介入を行ってでも、一刻も早く隣国の混乱を終結させてもらいたいところだろう。とにかく、「クルド和平プロセス」に影響が及ぶのだけは勘弁してほしい。もう後一歩の所まで近づいて来ているのに、私もトルコの人たちと一緒に祈りたい気持ちだ。
おそらく、アサド氏に民主化を図る意志はあったのだろうけれど、結局、バース党を掌握できなかったのではないかと思う。
7~8年前のトルコの新聞で、シリアの人たちの間に広まっているという小話を読んだ。
シリアの役人が、アメリカ人の旅行者に訊いた。「貴方はアメリカでどのくらい給料をもらっているのか?」
アメリカ人旅行者:「月に4千ドルだよ」
シリアの役人:「それで貴方は月にどのくらい金を使うのか?」
旅行者:「うーん、2千ドルぐらいかな」
役人:「では、残りの2千ドルをどうしているのか?」
旅行者:「あのなあ、アメリカは民主主義の国なんだよ。その金をどうしているのか答える必要はないね。ところで、君はどのくらい給料もらっているんだ?」
役人:「俺か? 500ドルさ」
旅行者:「それで月にどのくらい使うの?」
役人:「まあ、2千ドルぐらいだな」
旅行者:「えっ? それじゃあ、あとの1500ドルは何処から手に入れているんだ?」
役人:「あのなあ、シリアは民主主義の国なんだぜ。その金をどうやって手に入れたのか答える必要なんてないよ」
もう一つ、アサド大統領が登場する小話もあった。
アサド大統領の前に、壷から魔人が出て来て言った。「お前の夢を叶えてやるから、何か言え」
アサド:「それなら、シリアとアメリカの間に架け橋を作ってもらいたい」
魔人:「ちょっと待て、それはいくらなんでも難しい。もう少し簡単な夢にしろ」
アサド:「うーん、それでは、シリアから役人の不正を一掃してくれ」
魔人:「ちょっと待て、さっきの架け橋だけれど、二車線ぐらいの橋で良いのか?」
しかし、どうやら魔人は、架け橋じゃなくて、ミサイルが飛んでくる弾道を作ってしまったらしい。この世は残酷だ。