メルハバ通信

兵庫県高砂市在住。2017年4月まで20年間トルコに滞在。

アフリン作戦

 トルコ軍は、とうとうシリアとの国境を越えて、アフリンへの軍事作戦を開始したらしい。

インターネットからトルコでの報道を見ると、AKP政権寄りのメディアは“英雄的なトルコ軍”の進撃を称え、反政権メディアには、米国との関係悪化や戦闘の泥沼化を懸念する声が高まっているようだ。「米国が仕掛けた罠に嵌ってしまったのではないか?」と政権の責任を問う識者もいる。

10年前なら、「トルコ軍と対立する親米的なAKP政権」を非難していた野党勢力は、非常に“反米的”だったはずだから、変われば変わるものだと思う。

一方、少し中立的な見方としては、限定的な作戦に留めれば、ロシアと米国は舞台裏でこれを容認し、トルコも一定の成果を上げることが出来るという説も聞かれる。

トルコが標的にしているPYD/PKKに対しては、米国もロシアも支援を続けているが、アフリンは、ロシアの影響下にあるため、米国はこの作戦にそれほど反発していない。

アサド政権の存続を望んでいるロシアも、「トルコから攻撃されたPYD/PKKは、アサド政権との話し合いに応じるだろう」と踏んでいるのではないかという。

この説が何処まで正しいのか良く解らないけれど、トルコの政府と軍が危険を承知で冒険的な作戦に踏み切るとも思えないから、これが結構妥当な線であるかもしれない。

いずれにせよ、大国の都合と、彼らの顔色を窺っていなければならないトルコとの間で、シリアの人々が酷い目に合わされている構図は、殆ど変わっていないような気がする。